法人で仮想通貨(暗号資産)の投資をしている皆さん、法人で仮想通貨の取引を行う場合には期末に時価評価を行う必要があります。期末の評価方法には、「洗い替え法」と「切り放し法」の2つがありますが、どちらを選ぶべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、その違いについてわかりやすく解説します。1. 洗い替え法とは?洗い替え法とは、期末の時価評価損益を計上した後、翌期首に時価評価で発生した損益を戻しいれる処理を行う方法になります。2. 切り放し法とは?切り放し法とは、期末の時価評価額をそのまま翌期首の取得原価として採用する方法になります。3. 洗い替え法と切り放し法の特徴法人で仮想通貨(暗号資産)の投資をしている場合、洗い替え法または、切り放し法を選択し計算する必要があります。一般的には洗い替え法で計算を行いますが、それぞれの特徴についてご紹介します。3.1 洗い替え法の特徴期末に時価評価損益を計上した後、翌期首に時価評価で発生した損益を戻しいれるため、取得原価をもとに計算を行うことができるので、想定に近い損益になります。例 2月決算の法人の場合【2023年度の計算】①2023年12月1日に1BTCを550万円で購入②2024年2月29日に期末時価評価で350万円の利益を計上(2月29日時点でのBTCのレートが900万円だと仮定する)【2024年度の計算】③2024年3月1日に前年の期末時価評価額900万円を取得原価として繰越しを行うその後、前年に期末時価評価で発生した350万円の損を出す処理をおこなう(保持しているBTCの取得原価は550万円となる)3.2 切り放し法の特徴時価評価を行った価格がそのまま取得原価になるので、所持している仮想通貨(暗号資産)が、年度をまたいで値上がりが続いていたり、逆に下がり続けている場合には価格変動の影響を小さくすることができます。例 2月決算の法人の場合【2023年度の計算】①2023年12月1日に1BTCを550万円で購入②2024年2月29日に期末時価評価で350万円の利益を計上(2月29日時点でのBTCのレートが900万円だと仮定する)【2024年度の計算】③2024年3月1日に前年の期末時価評価額900万円を取得原価として繰越しを行う4. 結論暗号資産の収支計算においては、「洗い替え法」と「切り放し法」の選択を行う必要があります。洗い替え法は取得原価で計算できるため、想定に近い損益になります。一方、切り放し法は価格変動の影響を小さくできる場合がありますが、想定している損益と乖離がある可能性があります。自身の市場状況を考慮し、適切な方法を選択しましょう。本記事を参考に税金の計算に役立ててください。5. クリプトリンクでは5.1 洗い替え法の場合翌期首に取得原価を元に戻すため、前年度繰越明細とあわせて期首洗替明細が作成されます。5.2 切り放し法の場合翌期首に戻し入れをしないため、前年度繰越明細のみ作成されます。5.3洗い替え法と切り放し法の切替洗い替え法と切り放し法の切替を行う場合には「期末時価評価について(法人)」を参考にしてください。関連記事【法人向け】クリプトリンクで簡単にできる期末処理と報告書の作成方法を解説【法人向け】仮想通貨(暗号資産)を取り扱う事業者が支払う税金は?計算方法も紹介【仮想通貨の計算】総平均法と移動平均法の違いとは?計算方法やメリット・デメリットについても紹介