仮想通貨(暗号資産)取引では、現物取引だけでなく、レバレッジを活用して大きな取引を行う仮想通貨FXも注目を集めています。仮想通貨FXは少額の元本で取引ができ、価格の上昇・下落のどちらからも利益を狙える点が魅力ですが、その反面、損失も大きくなるリスクがある取引です。そこで本記事では、仮想通貨FXとは何か仮想通貨FXの税金仮想通貨FXをした時の損益計算方法について詳しく解説しています。損益計算の方法を理解し、仮想通貨FXで得た利益を正しく申告するための準備をしましょう!仮想通貨FXとは仮想通貨FXとは、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)を利用して、レバレッジをかけた取引を行う投資方法です。仮想通貨を直接買ったり売ったりするのではなく、価格の変動を利用して利益を狙う投資手法になります。ここでは仮想通貨FXについて仮想通貨FXの特徴やメリット現物取引との違い利用できる取引所を解説、紹介していきます。仮想通貨FXの特徴やメリットここでは仮想通貨FX(証拠金取引)での特徴やメリットを紹介します。仮想通貨FXの特徴レバレッジがかけられる証拠金の何倍もの資金を動かすことができるため、少額でも大きな取引が可能です。売りからも取引が可能「買い(ロング)」だけでなく「売り(ショート)」から始めることで、相場が下がる局面でも利益を狙えます。決済による損益確定ポジションをクローズ(決済)したタイミングで損益が確定し、決済しなければ含み損益のままとなります。手数料やスプレッドが発生仮想通貨FXには取引手数料やスプレッド(売買の価格差)が発生することが一般的です。ポジション維持にスワップポイントが発生日をまたいでポジションを持ち越すと、スワップポイント(手数料)が発生する場合があります。仮想通貨FXのメリット少ない資金で大きな取引が可能レバレッジ効果で、小額の証拠金でも相場の変動に応じた大きなリターンが期待できます。下落相場でも利益を狙える売り(ショート)ポジションで、相場が下がる際にも利益を得られるチャンスが増えます。短期間でのリターンレバレッジと売り・買い両方の取引を活用することで、短期で利益を出すことが可能です。資金効率の向上レバレッジにより資金効率が高まり、複数のポジションや投資先に分散して運用することも可能になります。損切りライン設定によるリスク管理損切りラインを設定することで、損失を限定的に抑え、リスクを管理しやすくなります。実際に以下のような取引を行った場合を考えてみましょう。取引通貨ペア:BTC / JPYエントリー価格:1 BTC = 800万円取引方法:レバレッジ10倍取引資金(証拠金):10万円ポジション:買い(ロング)10万円の証拠金にレバレッジ10倍をかけるため、実際には100万円分のビットコイン(0.125BTC)を購入したのと同等の取引が行えます。ここから価格が上がった場合、ポジションを買い(ロング)で取引をしているので、利益が発生し、価格が下がった場合は損失が生じます。例えばビットコインの価格が1BTC=1,000万円になった時について考えてみましょう。もし現物取引で10万円を使ってBTCを購入した(0.0125BTC分)時、(1,000万円 - 800万円)× 0.0125BTC = 2.5万円2.5万円の利益が発生します。一方、上記のポジションで仮想通貨FXにて取引を行った場合、(1,000万円 - 800万円)× 0.125BTC = 25万円25万円の利益が発生し、現物取引と比べて、多く利益を受け取ることができます。逆にビットコインの価格が1BTC=600万円になった時ついて考えると、現物取引で10万円でBTCを購入した(0.0125BTC分)時、(600万円-800万円) × 0.0125BTC=-2.5万円2.5万円の損失が発生します。一方、上記のポジションで仮想通貨FXを行っていた場合、(600万円 - 800万円)× 0.125BTC = -25万円25万円の損失が発生し、現物取引と比べて損失が大きいことが分かります。なお、損失が生じる場合には、取引所によっては追証がある取引所もあり、その場合は元本以上のお金を失うことに注意する必要があります。現物取引との違い仮想通貨FXは、仮想通貨を直接買ったり売ったりするのではなく、価格の変動を利用して利益を狙うため、仮想通貨自体の所有権を持たないという点で現物取引と異なります。また、現物取引では安い価格で通貨を購入し、高い価格で売却して利益を出すことができますが、仮想通貨FXでは価格が下がることを予想してポジションを契約することも可能なため、仮想通貨の価格が高い時でも取引を行い利益を出すことが可能です。国内取引所では元本の2倍(個人の場合)で取引できるところがほとんどですが、海外取引所では10倍、100倍といった高い倍率で取引できるところもあります。利用できる取引所仮想通貨FXは国内や海外の仮想通貨取引所で取引を行うことができます。国内取引所取引所レバレッジbitflyer(ビットフライヤー)2倍(法人:10.19倍)DMMBitcoin2倍GMOコイン2倍(法人:10.19倍)SBI VC Trade2倍(法人:10倍)楽天ウォレット2倍(法人:10.1倍)海外取引所取引所レバレッジBitget(ビットゲット)125倍Bybit(バイビット)100倍MEXC Global200倍OKX100倍※2024年11月15日時点仮想通貨FXの税金とはここでは仮想通貨FXの税金について解説します。仮想通貨の税金について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。【初心者必見】仮想通貨(暗号資産)の税金とは?基本の計算から確定申告まで丸わかり雑所得で総合課税の対象になる仮想通貨FXの利益は雑所得として扱われ、総合課税が適用されます。これは給与や他の所得と合算して決まる方式で、所得が増えるほど、税率も上がります。給与所得があり、雑所得を含める給与所得以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要となります。課税のタイミングはいつ?買いまたは売りのポジションを決済した際に発生した利益が課税対象となります。そのため、取引途中で利益や損失がでていたとしても、個人の場合はポジションが未決済であれば課税対象にはなりません。※法人で未決済ポジションを保持している場合は、みなし決済として期末時点の価格と未決済価格との差分で損益が発生します。例えば、先ほどと同様に以下のような取引を行った際、取引通貨ペア:BTC / JPYエントリー価格:1 BTC = 800万円取引方法:レバレッジ10倍取引資金(証拠金):10万円ポジション:買い(ロング)上記の取引では100万円分のBTC(0.125BTC)を購入したことになるため、ビットコインの価格が1BTC = 1,000万円の時に決済を行った場合、(1,000万円 - 800万円)× 0.125BTC = 25万円となり、25万円の利益が課税対象となります。このポジションを決済せずに保持しているだけであれば、その取引は課税対象にはなりません。損益通算はできる?仮想通貨FXでの損益と仮想通貨の現物取引で発生する損益は、どちらとも雑所得で総合課税が適用されているため、損益通算を行うことが可能です。また、仮想通貨以外の雑所得の損益も相殺することができます。為替FXとの違いは?為替FXでの利益は仮想通貨FXと同様に雑所得に分類されます。しかし、為替FXは、他の所得と合算せずに独立して税額を計算する課税方法である「分離課税」が適用されるため、損益通算を行うことができません。また、分離課税は所得額にかかわらず税率が一定(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)なので、大きな利益がでた場合では「累進課税」である仮想通貨FXよりも支払う税金が少なくなります。逆に利益が少ない場合は仮想通貨FXよりも支払う税金が多くなります。以下の表は課税される所得金額と税率に関する表(住民税は10%)になります。表から分かるように課税される所得金額が3,299,000円までであれば仮想通貨FX等の取引の方が税率が低く(注1)、3,300,000円からは為替FXのような分離課税の方が税率が低くなります。総合課税では「控除額」があるため、所得金額が約441万円未満であれば、仮想通貨FXの取引による税金の方が少なくなります。(注1)仮想通貨FX以外の所得も合計されるため、該当する所得を合わせて3,299,000円までの時に税率10%で計算されます。仮想通貨FXをした時の損益計算方法ここでは仮想通貨FXをした時の損益計算方法について解説します。上でも説明したとおり、買いまたは売りのポジションを決済したタイミングで利益または損失が発生します。仮想通貨FXでは為替FXとは異なり、利益や損失の決済を仮想通貨で行う場合があります。その場合、買いや売りのポジションを決済した時点の通貨の時価とエントリー価格との差額が損益となります。例えば、取引通貨ペア:BTC / USDTエントリー価格:1 BTC = 60,000USDT(1USDT = 145円)取引方法:レバレッジ20倍取引資金(証拠金):1,500USDTポジション:売り(ショート)上記の条件でポジションを契約した場合は、30,000USDT分のBTC(0.5BTC)と同等の取引が行えます。今回ポジションを「売り」で契約しているので、1 BTC = 60,000USDTの価格より下がった場合、利益が発生します。①1BTC = 50,000USDTに下がった場合②1BTC = 65,000USDTに上昇した場合についての損益について計算してみましょう。①1BTC = 50,000USDTに下がった場合(60,000USDT- 50,000USDT) × 0.5BTC= 5,000USDTとなり、0.5BTCの価格が5,000USDT分下がっているため、5,000USDTの利益が発生することが分かります。②1BTC = 65,000USDTに上昇した場合(60,000USDT- 65,000USDT) × 0.5BTC= -2,500USDTとなり、0.5BTCの価格が2,500USDT分上昇しているため、2,500USDTの損失が発生します。ポジション決済時のUSDTの価格が1USDT = 150円だとすると、①では750,000円の利益が発生し②ではエントリー時のUSDTの価格が145円のため、362,500円の損が発生していることが分かります。仮想通貨FXの損益計算はクリプトリンクでクリプトリンクでは現物取引だけではなく、仮想通貨FXの取引データを登録することによって、仮想通貨FXの損益を計算することができます。損益の計算が必要な場合はぜひ、クリプトリンクの計算ツールをご利用ください。まとめ本記事では仮想通貨FXとは何か仮想通貨FXの税金仮想通貨FXをした時の損益計算方法について詳しく解説しました。仮想通貨FXとは、仮想通貨を用いて為替取引のように差益を狙う金融取引で、通貨の価格変動を利用して売買を行い、利益を得ることを目的としています。レバレッジをかけることにより少額でも大きな利益を出すことができます。ただし、損失も現物取引よりも大きくなる可能性があります。仮想通貨FXの税金は仮想通貨の現物取引と同様に、「雑所得」として扱われ、「総合課税」が適用されます。そのため、仮想通貨の現物取引、仮想通貨FXは損益通算を行うことが可能です。仮想通貨FXで利益が生じた場合、その利益を仮想通貨で受け取ることがありますが、その時は受け取りした時点の時価で損益を計算する必要があります。クリプトリンクの計算ツールでは仮想通貨FXの取引データを登録することにより、損益の計算をすることができるので、仮想通貨取引をしている方はぜひご利用ください。関連記事確定申告前に要確認!含み益でも課税される?仮想通貨(暗号資産)の含み損益の税金を解説仮想通貨投資の注意点とリスクとは?取引する前に知っておくべき知識を解説仮想通貨(暗号資産)の税金まとめ!10個の利益発生のタイミングと損益計算方法を解説