仮想通貨の歴史を学ぶシリーズVol.4では、2013年~2014年の仮想通貨の歴史について紹介していきます。前回の記事はこちら!【2011年~2012年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.3こちらの記事で紹介した2011年~2012年を簡単におさらいしましょう。2011年には、TIME誌でビットコインが取り上げられ、ビットコインに初めてのバブルが訪れましたが、同年に世界でも有数のビットコイン取引所Mt.Goxがハッキングを受け、価格が大きく下落しました。2012年には、当時はレジュプレス株式会社として現在のコインチェックが創業、WordPressがビットコイン決済を開始するなど徐々にビットコインが社会に浸透しつつある中、初の半減期を迎え、前年から続く下落相場に歯止めがかかっていきます。ここまでが2011年~2012年の歴史でした。では、今回はその続きから見ていきましょう。2013 - キプロス危機~二度目のビットコインバブルキプロス危機が発生2013年3月、キプロス危機(キプロスショック)と呼ばれる金融危機が発生しました。キプロスの国内銀行が、リーマンショックやギリシャ危機による影響で業績が悪化。これに対してEUは銀行預金への課税を条件に金融支援を行ったほか、預金引き出し制限、海外送金規制などの資本規制も行いました。この影響で、自国の通貨に対する不信感から、もしくは資本規制から逃れるためにビットコインへと資産を移す動きが大きくなり、避難通貨としてビットコインの価値が高まっていきました。2013年年明けには1BTCあたり約1,000円~1,500円程度だったビットコインは、3月の終わりには1BTCあたり約8,000円にまで上昇し、キプロス危機の影響がかなり大きなものだったことが伺えます。中国の大手検索サイト「百度」がビットコイン決済導入2013年10月、中国の大手検索サイト「百度」がビットコイン決済を採用しました。現在でこそ中国はビットコインを始めとする仮想通貨に対して規制を行っていますが、この時点では特に規制などはありませんでした。また、仮想通貨市場といえばアメリカが最も大きな市場ですが、規制がなかった当時は中国も主要な市場として機能していたとされ、そこに大手の百度がビットコイン決済を採用したことでビットコインの価格は大きく上昇することになります。この時期のビットコイン価格は1BTCあたり約15,000円。ついに1万円の大台に乗り、ここからさらに価格が上昇していきます。NHKでビットコインが特集される2013年12月、ここにきて日本でもビットコインが話題になる出来事が起こります。NHKでビットコインが特集されました。これにより日本でも知名度を得たビットコインは価格をさらに上げ、一時的に1BTCあたり100,000円を超える価格にまで上昇しました。NHKではこれ以後もたびたびビットコイン・仮想通貨を取り上げており、日本で本格的にビットコインが話題になる前からこの技術に注目していたことがわかります。中国政府がビットコイン取引禁止を発表2013年12月、中国政府がビットコインの取引禁止を発表し、ビットコイン価格に大打撃を与えました。2013年はここまで紹介したように、ビットコインにとっては追い風につぐ追い風で順調に価格を伸ばしていきました。しかし、12月初め、中国政府は中国国内の銀行が仮想通貨の取引を行うことを禁止すると発表、中国人民銀行を始めとする複数の金融機関がビットコイン関連の取引を行うことを禁止する声明を出しました。個人の仮想通貨取引そのものは禁止されていませんでしたが、ビットコイン取引に関して注意を促す勧告がなされ、中国の仮想通貨市場は冷え切っていきました。この影響は大きく、一時は100,000円を超えていた価格は1BTCあたり約70,000円まで急落し、その後も下落相場が続いていくことになります。2014 - bitFlyer創業~米大手IT企業がビットコイン決済開始bitFlyer創業2014年1月、現在日本で仮想通貨取引所を運営している株式会社bitFlyerが創業しました。bitFlyerは日本の取引所の中ではかなり初期から運営しており、国内で初めて「販売所」という名称で現在の販売所サービス(取引所とユーザー間で取引するサービス)を始めたと言われています。現在では国内にもいくつもの仮想通貨取引所がある中、ビットコインの取引高は2016~2021年の6年間国内トップを記録しており、人気の取引所の一つです。この日本市場の影響かはわかりませんが、中国政府がビットコインの取引禁止を発表してから下落していた相場は一時的に値を上げ、1BTCあたり約90,000円まで戻ります。Mt.Goxが再度ハッキングされ破綻2014年2月、取引所のMt.Goxが再びハッキングを受け、閉鎖しました。以前にも2011年6月にMt.Goxはハッキングを受けており、この時は閉鎖までにはなりませんでしたが、その影響は大きく、当時のピークから10分の1にまでビットコインの価格は落ち込みました。今回のハッキングでは、85万BTC、当時の価格で約400万ドルに相当するビットコインが盗難されました。この事件を受けて、Mt.Goxは仮想通貨取引をすべて中止、2月24日に取引所は閉鎖となりました。前回のハッキング事件と同様、この時点でもMt.Goxの影響は大きく、1月には1BTCあたり約90,000円で推移していたビットコイン価格は急落、6月までに1BTCあたり45,000円にまで下落します。マイクロソフトなど米大手IT企業がビットコイン決済導入2014年は、前節のようにビットコインにとって大きなマイナスとなる事件もありましたが、同時に社会に徐々に浸透し始めた時期でもあります。一例として、アメリカでDellやマイクロソフトなどの大手IT企業がビットコイン決済を開始しました。マイクロソフトではWindowsやWindows Phone、Xboxのアプリ・ゲームなどのコンテンツの支払いに、Dellでは公式ホームページを通じた自社製品の購入に、ビットコインが利用できるようになりました。このサービスは日本では提供されず、アメリカ国内限定のサービスでしたが、大手IT企業がビットコインを認めたことはインパクトがあったようで、発表当時は一時的に価格が上昇しました。ですが、前年から続く中国政府のビットコイン規制やMt.Gox閉鎖の影響は著しく、価格が復調に転じることはなく、12月末には1BTCあたり約38,000円にまで低迷しました。まとめここまで、仮想通貨の歴史について、2013年~2014年を見てきました。最後に、簡単にトピックをまとめておきましょう。2013年3月:キプロス危機が発生2013年10月:中国の大手検索サイト「百度」がビットコイン決済を採用2013年12月:NHKでビットコインが特集される2013年12月:中国政府がビットコインの取引禁止を発表2014年1月:株式会社bitFlyerが創業2014年2月:Mt.Goxが再度ハッキングを受け破綻2014年:マイクロソフトなど米大手IT企業がビットコイン決済導入2011年に初めてのバブルが訪れた時でさえ2,000円前後だったビットコイン価格は、2013年のキプロス危機をきっかけに避難通貨としての価値を大きく高め、ピーク時には100,000円を超える価格で取引されました。こうしてビットコインが広まり、価値が高まっていくと同時に、中国政府がビットコインの取引を禁止にするなど規制も広まっていき、ビットコインの価格は低迷していきます。2014年、Mt.Goxの破綻をきっかけに下落はさらに加速しました。2013年~2014年は、急騰する出来事があったものの、規制や事件などの影響で最終的には低迷に終わっています。一方で、ビットコイン決済が大手IT企業に広まるなど社会へ浸透し始めてきたのもこの時期で、価格に大きな影響こそ与えなかったものの、ビットコインの有用性が認められていきました。次回は2015年~2016年、ビットコインの停滞は長引きますが、復調に転じる出来事が起こっていきますので、気になる方はぜひ次回もご覧ください。過去の記事はこちら!【~2008年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.1【2009年~2010年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.2【2011年~2012年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.3