仮想通貨の歴史を学ぶシリーズVol.5では、2015年~2016年の仮想通貨の歴史について紹介していきます。前回の記事はこちら!【2013年~2014年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.4こちらの記事で紹介した2013年~2014年を簡単におさらいしましょう。2013年には、キプロス危機が発生し避難通貨としてビットコインの価値が高まり、二度目のバブルとなりましたが、中国政府による規制によって下落相場に陥っていきます。2014年には、日本でbitFlyerが創業、マイクロソフトなど米大手IT企業がビットコイン決済を導入などといったプラスの材料もありましたが、Mt.Goxが再度ハッキングされて破綻したことで更に相場は悪くなっていきました。ここまでが2013年~2014年の歴史でした。では、今回はその続きから見ていきましょう。2015年 ー Bitstampハッキング~各国で法整備が進むBitstampがハッキングを受ける2015年1月、Mt.Gox閉鎖後に人気を集めていたBitstampがハッキングを受けました。Bitstampとは、ビットコインが誕生して3年目の2011年にサービスを開始した、かなり早期から運営を続けている仮想通貨取引所です。日本での知名度はあまり高くはありませんが、欧州ではトップクラスの取引量を誇っており、このハッキング事件は大きな話題となりました。Mt.Goxのハッキングと異なり、今回のハッキングはBitstampの運用上のウォレットのみで顧客のビットコインへの被害は少ないと発表されましたが、それでも価格への影響は小さくありませんでした。2014年末には約38,000円だったビットコインは、1BTCあたり約25,000円にまで落ち込みます。ニューヨーク州が「Bit License」を導入2015年6月、相次いで発生したハッキング事件を受けて、アメリカのニューヨーク州が「Bit License(ビットライセンス)」という認可制度を導入しました。これは、ビットコインを取り扱う事業者を免許制とするもので、このBit Licenseの認可を取得していなければ、ビットコインに関する取引所の運営、送金入金、カストディ、管理や発行といった事業ができません。有名な企業では、コインベースやbitFlyerといった取引所の運営をしている企業だけでなく、PayPal、スクエアなどの企業も取得しています。この頃のビットコイン価格はBitstampのハッキングからやや回復傾向となり、1BTCあたり約29,000円となっています。欧州司法裁判所がビットコインはVATの対象外との見方を発表2015年10月、欧州司法裁判所でビットコインの取引はVATの課税対象外との見方が示されました。VATとは日本語では付加価値税と訳され、EUやアジアなどの国でモノやサービスの購入時に課せられる間接税のことです。この発表がなされたことで、ビットコインを購入するたびにVATを支払う必要がなくなると同時に、ビットコインが正式な支払い手段として認められ、税金の問題がクリアになりました。欧州全体に関わる発表だったからか影響は大きく、この発表がなされてから11月にかけてビットコインの価格は大きく上昇し、1BTCあたり約45,000円にまで上がりました。2016年 - 改正資金決済法成立~ビットコイン2度目の半減期改正資金決済法が成立2016年を過ぎると、日本でも仮想通貨に関してさまざまな動きが出てきます。2016年5月、その中でも大きな動きの一つとして、初めて仮想通貨に関する規制を盛り込んだ法律「改正資金決済法」が成立しました。この改正資金決済法で、「暗号資産」の定義や「暗号資産交換業」の定義から、登録制の導入、帳簿の規定などなど、仮想通貨の法的な位置付けが明確化され、これが翌年2017年の盛り上がりに繋がったとの見方もあります。日本での法整備の影響に加えて、後述の二度目の半減期が近い影響から、ビットコインの価格は徐々に上昇し、改正資金決済法成立時点で1BTCあたり約50,000円となりました。ビットコインが2度目の半減期を迎える2016年7月、ビットコインの一大イベント、2度目の半減期が訪れます。半減期について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください。ビットコインの半減期はいつ起こり、なぜ上がるのか解説!売るタイミングなのか過去の価格を一覧にして検証【仮想通貨(暗号資産)】半減期は約4年に一度ですが、前回の初の半減期は2012年11月、それから3年8カ月で2度目の半減期を迎えることとなりました。今回の半減期では、ビットコインのマイニング報酬がこれまでの25BTCから12.5BTCに半減し、これを受けてビットコインの価格が大きく上昇しました。このときの価格は1BTCあたり70,000円と、2013年から2015年まで続いていた下落、停滞から一転して復調に転じていきます。Bitfinexがハッキングを受ける2016年8月、香港で人気の取引所Bitfinexがハッキングを受けました。Bitfinexとは、2012年に香港で創業された、Bitstampと同じくかなり早期から運営を続けている老舗の取引所です。2017年度にはドル建てビットコインの取引高が世界一だったことからも、その人気の高さが伺えます。そんなBitfinexが8月にハッキング被害に遭い、実に約120,000BTCが消失。半減期を迎えたばかりで価格が上昇していたこともあいまって、金額的な損失はかなりのものとなりました。この影響で8月末には1BTCあたり約58,000円と一時的に下落しましたが、その後すぐに回復し、さらに上昇していくことになるので、ハッキングの不安より半減期後の期待が強く表れる結果となりました。GMOコイン、DMMビットコインなどの取引所が開設2016年は全体を通して日本で取引所がいくつも創業し、2017年から始まる日本での仮想通貨の盛り上がりへ通じる下準備が進んでいきました。一部にはなりますが、いくつか2016年に創業した取引所を紹介しましょう。GMOコインDMMビットコインBitPointBitTradeいずれも日本で仮想通貨取引を行っている方であれば、一度は聞いたことがある取引所だと思います。現在でも人気のあるこれらの取引所はどれも2016年に創業されており、今後の日本での仮想通貨の盛り上がりを支える基盤となっていきました。まとめここまで、仮想通貨の歴史について、2015年~2016年を見てきました。最後に、簡単にトピックをまとめておきましょう。2015年1月:Bitstampがハッキングを受ける2015年6月:ニューヨーク州が「Bit License」導入2015年10月:欧州司法裁判所がビットコインはVATの対象外との見方を発表2016年5月:改正資金決済法が成立2016年7月:ビットコインが2度目の半減期を迎える2016年8月:Bitfinexがハッキングを受ける2016年:日本で複数の取引所が創業こうしてトピックを並べてみると、ビットコインの開発から8年が経過して、制度・法律に盛り込まれるようになっており、着実にビットコインが影響力を持ってきていることがわかります。それと同時に、前回の記事ではMt.Goxがハッキングを受けたことを紹介、今回の記事では二回も別の取引所がハッキングを受けており、ビットコインの歴史はハッキングとの戦いの歴史でもあることがわかりますね。2016年からさらに8年が経った2024年でも、DMMビットコインがハッキングを受けてビットコインが盗難されたり、ミームコインがハッキングを受けて異常発行されたり、セキュリティは進歩しているものの未だに戦いは続いています。今後も安心して取引をするために、仮想通貨の発展だけでなくセキュリティの進歩にも期待していきたいところですね。さて、次回は2017年~2018年、日本でも仮想通貨が盛り上がってきた時期で、このあたりから仮想通貨を知った、仮想通貨運用を始めた、という方も多いのではないでしょうか。気になる方はぜひ次回の記事もご覧ください。過去の記事はこちら!【~2008年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.1【2009年~2010年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.2【2011年~2012年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.3【2013年~2014年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.4