仮想通貨の歴史を学ぶシリーズVol.5では、2015年~2016年の仮想通貨の歴史について紹介しました。前回の記事はこちら!【2015年~2016年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.5こちらの記事で紹介した2015年~2016年をおさらいしましょう。2015年には、BitStampがハッキングされた事件から始まり、一時ビットコインの価格が落ち込みましたが、各国で法整備が進んだことで徐々にビットコインの価格が回復していきました。2016年には、日本で改正資金決済法が成立し、日本での仮想通貨の法的な位置付けが明確化したとともに、ビットコインが2度目の半減期を迎え大きく価格を伸ばしました。ここまでが2015年~2016年の歴史でした。では、今回はその続きから見ていきましょう。2017年 - 改正資金決済法施行~ビットコイン先物取引開始改正資金決済法施行2017年4月、日本で2016年に成立した改正資金決済法が施行されました。この改正資金決済法では、仮想通貨の交換業者に登録制を導入、口座開設時の本人確認の義務付け、その他利用者保護を目的とした制度的な枠組みを制定しました。これらは利用者保護のほかにもマネーロンダリングなど犯罪目的での仮想通貨利用を防止する目的も含んでおり、この法律は仮想通貨の普及や犯罪の多様化に合わせて現在まで改正が何度か行われていくこととなります。記憶にある方も多いかと思いますが、2017年といえば日本でも仮想通貨がメディアなどで大きく取り上げられるようになり、またしてもビットコインバブルと呼ばれる年になります。この4月時点では2016年末の1BTCあたり約110,000円に比べ価格は上昇しているものの、1BTCあたり約120,000円ほどとなっており、まだバブルとまでは言えない状況でした。ビットコインキャッシュ(BCH)発行2017年8月、ビットコインキャッシュ(BCH)が誕生しました。ビットコインキャッシュはビットコインのハードフォーク(アップデートによる分岐)によって生まれた仮想通貨です。ビットコインキャッシュが誕生した背景には、ビットコインの運営を進める上での思想の違いがあり、ビットコインは価値の保存・維持を重視していましたが、そんな思想に対して支払い手段として利用価値を求める形で開発されたのがビットコインキャッシュです。価値の保存のためにはブロックチェーンネットワークの堅牢さ、セキュリティが重要になりますが、支払い手段としての機能を考えるとスムーズに決済できる処理能力が重要になってきます。この二つの能力は既存の技術では両立が難しいため、ハードフォークによって分岐し、ビットコインからビットコインキャッシュが生まれることとなりました。この頃ビットコインは大きく価格を伸ばし続け、1BTCあたり約450,000円ほどとなり、ビットコインバブルは過熱していきました。先物取引所CMEでビットコイン先物取引が開始2017年12月、アメリカの先物取引所運営大手のCMEグループがビットコイン先物取引を開始しました。この影響で機関投資家の参入などもあり価格は上昇し、ビットコイン先物は期近の1月限では20,650ドルの初値を付けたのち、19,480ドル前後で落ち着きました。ビットコイン現物としても価格は飛躍的に上昇しており、1BTCあたり2,000,000円を上回る価格にまで上昇し、バブル最盛期を迎えました。2018年 - ビットコインバブル崩壊~JVCEA認可コインチェックがハッキングを受ける2018年1月、日本の仮想通貨取引所コインチェックがハッキングを受けました。コインチェックは2014年にサービスを開始した日本の仮想通貨取引所であり、現在でも国内大手取引所の一つとして運営が続けられています。そんなコインチェックが1月にハッキング被害に遭い、実に580億円相当のNEMが盗難されました。この時用いられた手口は現在でもよく用いられ、被害が出続けている「メールのリンクを開いたことによるマルウェア感染」とのことでした。取引所だけでなく利用者も狙われる可能性がある手口ですので、こうした過去の事例を教訓に十分に注意していきたいですね。この時、次節で紹介する事柄もあいまって、1BTCあたり1,200,000円ほどと昨年末から大きく価格を下げており、バブルの崩壊へと進んでいくことになります。ビットコインバブル崩壊2018年1月~3月にかけて、とある事柄をきっかけにビットコインバブルが崩壊してゆくこととなりました。きっかけとなったのは、1月、Facebookが仮想通貨の広告掲載を禁止することを発表したことです。この発表ののち、3月には連鎖的にGoogle、Twitter(現在はX)も仮想通貨の広告掲載を禁止する旨を発表。これにより、年初には1BTCあたり1,500,000円ほどだったビットコインの価格は急速な下落を続け、4月に入るころには1BTCあたり700,000円前後と実に半額以下にまで値を下げました。ここで一旦、2017年に発生したバブルは崩壊することとなりました。メルカリやLINEが仮想通貨事業に参入2018年2月、メルカリやLINEが仮想通貨事業に参入しました。メルカリは「メルペイ」を通じて仮想通貨交換業者登録を目指すとし、この申請が通ればメルカリでの仮想通貨による決済が可能になると発表しました。これと同時期、LINEは仮想通貨の取引などを担う子会社「LINEファイナンス」を設立し、LINEアプリを経由してビットコインを含む複数の仮想通貨の取引、決済サービスでの利用も可能にしていくことを発表しました。このように、2016年には多数の国内取引所のサービス開始がありましたが、2018年には既に人気を集めているサービスが取引所だけでなく仮想通貨決済も視野に仮想通貨事業に参入する動きが活発になっていきました。この頃、ビットコインバブルの崩壊が始まった時期でしたので、1BTCあたり1,000,000円ほどに価格が減少していきます。日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が金融庁より認可を受ける2018年10月、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が金融庁に認可されました。日本仮想通貨交換業協会自体は2018年3月に設立されましたが、10月になって金融庁から自主規制団体としての認可を受け、自主規制業務を含むさまざまな業務を正式に開始することができるようになりました。日本仮想通貨交換業協会は、この時には金融庁から許可を受けた仮想通貨交換業を行っている16社からなり、仮想通貨交換業の健全な発展、ユーザーの利益の保護を目的として発足したもので、現在でも活動を行っています。この頃にはビットコインバブルの崩壊も落ち着いていましたが、依然として復調に転じることはなく、年初と比較すると半値以下の1BTCあたり700,000円前後を推移していました。まとめここまで、仮想通貨の歴史について、2017年~2018年を見てきました。最後に、簡単にトピックをまとめておきましょう。2017年4月:改正資金決済法施行2017年8月:ビットコインキャッシュ(BCH)発行2017年12月:先物取引所CMEでビットコイン先物取引が開始2018年1月:コインチェックがハッキングを受ける2018年1月:ビットコインバブル崩壊2018年2月:メルカリやLINEが仮想通貨事業に参入2018年10月:日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が金融庁より認可を受ける2015年に米国や欧州が先駆けて仮想通貨に関する法整備を進めていましたが、2016年に改正資金決済法という形で法整備を開始、2017年に施行されるという経緯を経て、日本でも仮想通貨規制に関する基本的な枠組みが作られていくことになります。また、ビットコインの先物取引が活発になっていくのもこの時期からになります。そして、ビットコインの開発からちょうど10年となる2018年には、FacebookやGoogleなどが仮想通貨広告の規制を発表したことによるビットコインバブルの崩壊という喜ばしくない状況から始まりました。2018年は復調に転じることもなくビットコインの価格は低迷を続けました。ですが、その一方でメルカリやLINEなど大手企業が取引だけでなく決済手段としての仮想通貨利用も想定した事業を発表したこと、日本仮想通貨交換業協会が金融庁より認可を受けたことなど、仮想通貨が着々と日本の経済に浸透していった時期でもありました。価格の上下ばかりに目が行きがちですが、こうして見るとバブル期でもバブル崩壊期でも、その裏では事業の立ち上げや法整備などさまざまな事柄が進んでいることがわかります。価格の動向だけでなく、こうした価格にあまり反映されないところで動いていることにも注目していきたいですね。さて、次回は2019年~2020年、コロナ禍が記憶に新しい方もいるかと思いますが、そんな景気の中で仮想通貨がどう動いていたのか、見ていきたいと思います。ぜひ次回の記事もご覧ください。関連記事【~2008年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.1【2009年~2010年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.2【2011年~2012年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.3【2013年~2014年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.4【2015年~2016年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.5