仮想通貨の歴史を学ぶシリーズVol.6では、2017年~2018年の仮想通貨の歴史について紹介しました。前回の記事はこちら!【2017年~2018年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.6こちらの記事で紹介した2017年~2018年をおさらいしましょう。2017年はビットコインバブルが起こり、日本では改正資金決済法の施行、米国の先物取引所CMEでビットコインの先物取引が始まるなどといったイベントがありつつ、またビットコインキャッシュ(BCH)が発行されたのもこの年でした。2018年は、Facebookなどが仮想通貨の広告掲載を禁止したことによる影響でビットコインバブルが崩壊しましたが、その裏ではメルカリやLINEが仮想通貨事業に参入するなど、着々と仮想通貨の裾野は広がり続けていました。ここまでが2017年~2018年の歴史でした。では、今回はその続きから見ていきましょう。2019年-複数の取引所がハッキング被害を受ける~中国で「暗号法」可決バイナンスがハッキング被害を受ける2019年5月、世界的な仮想通貨取引所バイナンスがハッキング被害を受けました。バイナンスは2017年に設立された仮想通貨取引所で、仮想通貨の一日の取引量が世界最大規模であることで知られています。そんなバイナンスが5月にハッキング被害に遭い7,000BTC、当時の価格にして実に約45億円相当のビットコインが盗まれました。バイナンスの管理するビットコインの約2%が保管されていたウォレットが攻撃されたとのことですが、この事件はあまりビットコインの価格にあまり影響を与えず、事件当時1BTCあたり650,000円前後を推移し、以後上昇を続けました。その一方で、バイナンスが発行しているバイナンスコイン(BNB)には影響があり、事件前まで2,400円前後だった時価は2,200円ほどに下がり、一気に10%近く下落しました。ビットポイントがハッキング被害を受ける2019年7月、日本の仮想通貨取引所ビットポイントがハッキング被害を受けました。ビットポイントは2016年に設立された仮想通貨取引所で、当時はリミックスポイントの子会社でしたが、現在はSBIホールディングスの連結子会社として運営を続けています。国内取引所な上にステーキング報酬がもらえるシステムがあるので、利用しているユーザーも多いのではないでしょうか。そんなビットポイントが7月にハッキング被害に遭い、当時の価格にして約35億円相当の仮想通貨が流出し、取引や口座開設を含む全サービスを一時停止しました。大規模なハッキング事件がバイナンス、ビットポイントと立て続けに発生しましたが、ここでもビットコインの価格への影響はほとんどなく、事件当時1BTCあたり1,100,000円ほどを推移し、以後しばらくこの付近の価格帯を維持しました。ビットコインへの影響はありませんでしたが、ビットポイントの親会社リミックスポイントの株価は事件が発表された日にストップ安となりました。BakktがBTC先物サービスを開始2019年9月、仮想通貨取引プラットフォームBakktが先物取引を正式に開始しました。Bakktは、2018年8月にNYSE(ニューヨーク証券取引所)の親会社であるICEが設立を発表したプラットフォームで、かねてより注目を集めていました。しかし、注目されていたプラットフォームが正式に先物取引を開始したものの、出来高の低さから失望感が広がり、9月半ばには1,000,000円台を推移していたところから9月末には1BTCあたり870,000円前後にまで落ち込みました。中国で「暗号法」が可決2019年10月、中国で「暗号法」が可決されました。暗号法は、暗号に変換された情報を中国政府が保護することが目的とされており、インターネットセキュリティなどから仮想通貨まで保護対象となります。これにより、中国政府がこうした暗号化された取引情報を確認できるようになります。この法案は、中国国内に進出している海外企業の情報を保護できなくなってしまうのではとの懸念がありましたが、一方で、取引情報をすべて政府が確認できるため不正取引を防止する効果も期待されました。このときビットコインの価格は比較的安定しており、1BTCあたり890,000円ほどの価格帯で推移していました。2020年-新型コロナによるパンデミック発表~米国大統領選WHOが新型コロナによるパンデミックを発表2020年3月、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスについてパンデミックを発表しました。これにより金融市場全体が不安に包まれ株や金などの価格が急落する中、仮想通貨市場も同様の動きを見せ、それまで800,000円~1,000,000円の価格帯で推移していたビットコインは3月18日には一時的に1BTCあたり550,000円ほどに急落。世界的な非常事態ということでこの影響は長期的なものになると思われましたが、各国が大規模な金融緩和策などを行ったことでビットコインの価格は急速に回復しました。また、この後、次節で解説するビットコインの3回目の半減期が控えていたこともあいまって、3月末には1BTCあたり700,000円を超える価格にまで上昇しました。ビットコイン3回目の半減期を迎える2020年5月、ビットコインは3回目の半減期を迎えました。半減期は約4年に一度ですが、前回の半減期が2016年7月で正確には3年10カ月ぶりの半減期となり、市場の期待通りの半減期となりました。半減期について詳しくは以下の記事で解説していますので、こちらも併せてご覧ください。ビットコインの半減期はいつ起こり、なぜ上がるのか解説!売るタイミングなのか過去の価格を一覧にして検証【仮想通貨(暗号資産)】今回の半減期では、ビットコインのマイニング報酬がこれまでの12.5BTCから6.25BTCに半減し、これを受けてビットコインの価格は上昇しました。それまで700,000円~900,000円の価格帯で推移していたビットコインは、半減期を境に1BTCあたり1,000,000円前後で推移するようになりました。米国大統領選が実施される2020年後半、米国大統領選が盛り上がりを見せました。2024年後半に仮想通貨推進派であるトランプ氏優勢で大統領選が進んだため一時的な仮想通貨バブルとなったことは記憶に新しい方も多いでしょう。2020年の大統領選では現在では仮想通貨推進派のトランプ氏対バイデン氏の形となるも、この時にはどちらの候補も仮想通貨やブロックチェーンを争点にはしていませんでした。そのため、どちらが当選したとしても仮想通貨業界の大きな変化は期待されていませんでしたが、SEC委員長の指名を始めその他仮想通貨関連の取り組みへの影響は考えられました。ですので、2024年の大統領選ほどの影響力があったかはわかりませんが、当時はDeFiの盛り上がりなどもあり、年末には1BTCあたり2,500,000円を超える価格にまで上昇しました。まとめここまで、仮想通貨の歴史について、2019年~2020年を見てきました。最後に、簡単にトピックをまとめておきましょう。2019年5月:バイナンスがハッキング被害を受ける2019年7月:ビットポイントがハッキング被害を受ける2019年9月:BakktがBTC先物サービスを開始2019年10月:中国で「暗号法」が可決2020年3月:WHOが新型コロナによるパンデミックを発表2020年5月:ビットコイン3回目の半減期を迎える2020年後半:米国大統領選が実施される2019年には、世界的に大きな取引所であるバイナンスのハッキング被害が発生、また日本でもビットポイントでハッキング被害が発生しました。ハッキング被害は現在でも発生し続けており、取引所だけでなくブロックチェーンのシステムを悪用して大量に通貨を発行させるなど高度なハッキングも行われています。取引所やブロックチェーンを狙ったハッキングは被害額が大きくなるため、ニュースになりやすく広く知られていますが、仮想通貨をあまり持っていない個人だからといって注意を怠ってはいけません。メールやSNSを用いたフィッシング詐欺や似たようなウォレットアドレスで送金し誤送金を誘う方法など、個人の資産を狙うハッキングも手口が巧妙化していますので、十分気を付けるようにしましょう。2020年は、新型コロナのパンデミックによる暴落後、各国政府の金融緩和により価格が戻る波乱がありつつ、4年に1度のビッグイベントであるビットコインの半減期を迎えるという価格の変化が激しい一年になりました。パンデミックや大統領選などは先を読むことが難しい上に市場への影響が非常に大きいですが、中でも仮想通貨はボラティリティが大きいため、上手くいけば大きく利益を上げられる一方、大きな損失を被る危険性もあります。こうしたときにどのように投資していくか、いっそ投資をせず静観するか、慎重に判断をしていきたいですね。さて、次回は2021年~2022年、依然としてコロナ禍が続く中、またしてもビットコインバブルが起こっていくことになり、このあたりから仮想通貨投資を始めた方も多いのではないでしょうか。ぜひ次回の記事もご覧ください。関連記事【~2008年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.1【2009年~2010年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.2【2011年~2012年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.3【2013年~2014年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.4【2015年~2016年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.5【2017年~2018年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.6