仮想通貨の歴史を学ぶシリーズVol.8では、2021年~2022年の仮想通貨の歴史について紹介しました。前回の記事はこちら!【2021年~2022年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.8こちらの記事で紹介した2021年~2022年をおさらいしましょう。2021年はテスラ社が15億ドル分ものビットコインを購入したことで高騰したところから始まり、コインベースのナスダック上場、エルサルバドルでビットコインが法定通貨に制定、ビットコイン先物ETFなど、ビットコインにとって追い風となる出来事が立て続けに起こりました。しかし、2022年に入るとテラショック、テスラ社によるビットコインの大量売却によって大幅に下落、11月にはFTXの破綻も重なり、2021年のビットコインバブルから一転して急激に値を落としていくことになりました。ここまでが2021年~2022年の歴史でした。では、今回はその続きから見ていきましょう。この記事の要約2023年米SECがコインベースとバイナンスを立て続けに提訴したがビットコイン価格に影響なしブラックロック社がビットコイン現物ETFを申請したことで価格を伸ばすリップル裁判でリップル社が一部勝訴するも、ビットコインへの影響は少ない2024年米SECがビットコイン現物ETFを承認したためビットコイン価格が伸びるビットコイン4回目の半減期を迎え、一気に価格が高騰Mt.GoxがMt.Gox事件の弁済をBTC・BCHで行うことを発表し、一時価格が急落米大統領選でトランプ大統領が当選したためバブルに突入し、価格が急騰2023年-米SECが一部取引所を提訴~ビットコインETF申請米SECがコインベースとバイナンスを提訴2023年6月、米SECがコインベースとバイナンスを立て続けに提訴しました。米SECは5日にバイナンスと同社の当時のCEO趙氏を、未登録取引所の運営や取引管理に関する虚偽の説明、未登録証券の販売などで投資家保護規則を無視していたとして提訴。翌6日にコインベースを、実際には未登録の証券である多数のトークンを利用者に取引させ、規制を逃れていたとして提訴しました。この出来事は一時的にBNBの価格を下落させるなどの影響を及ぼしましたが、ビットコイン価格には大きな影響はなく、1BTCあたり3,800,000円前後を推移していました。ブラックロック社がビットコイン現物ETFを申請2023年6月、世界最大の資産運用会社であるブラックロック社がビットコイン現物ETFを米SECに上場申請しました。このETFは「iShares Bitcoin Trust」という名称で、上場書類の再提出を経て、2024年に承認されていくことになります。これを境にビットコインはそれまでの停滞から上昇へと転じ、6月末にかけて1BTCあたり4,500,000円ほどへと価格を伸ばしました。ETFについては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご一読ください。仮想通貨のビットコインETF/イーサリアムETFとは?特徴や仕組みを分かりやすく解説リップル裁判でリップル社が一部勝訴2023年7月、2020年から続いていたリップル裁判において、リップル社が一部勝訴しました。リップル裁判とは、米SECがXRPを有価証券登録せずに販売してきたことは違法だとしてリップル社を提訴し、続けられてきた裁判の通称です。今回の判決では、XRPの機関投資家への販売は証券法違反と認定された一方、取引所で一般投資家向けに販売したことについては違法性はないとされました。これは仮想通貨市場にとってポジティブな材料でしたが、ビットコイン価格にはそこまで影響がなく、1BTCあたり4,200,000円ほどを維持しました。2024年-ビットコインETF承認~米大統領選でトランプ大統領が当選米SECがビットコインETFを承認2024年1月、米SECが先ほど紹介したブラックロック社の申請を含む11件のビットコイン現物ETFを承認しました。これにより米SECの管理下にある証券会社を通じてビットコイン投資ができるようになり、また、投資家の資産が保護されることもあってますますビットコインへの投資が進むことが予想され、仮想通貨市場にポジティブな影響を与えました。これによりビットコインの価格は上昇し、1BTCあたり6,600,000円前後へと価格を伸ばしました。ビットコイン4回目の半減期を迎える2024年4月、ビットコインが4回目の半減期を迎えました。半減期については以下の記事で解説していますので、興味のある方はこちらもご覧ください。ビットコインの半減期はいつ起こり、なぜ上がるのか解説!売るタイミングなのか過去の価格を一覧にして検証【仮想通貨(暗号資産)】半減期は約4年に一度で、今回は2020年5月以来の半減期で3年11か月ぶりの半減期となり、市場の期待通りとなりました。期待通りというのも今回の半減期は、半減期への期待感からか実際に半減期が起きた4月から2カ月ほど前、2024年2月から価格の大幅な上昇が見られ、3月には頭打ちとなり、4月に半減期を迎えた際にはそこまで価格が伸びませんでした。2月に入るころには6,000,000円前後だったところから、半減期を迎える頃には1BTCあたり10,000,000円を超える局面も見られるほど高騰しました。Mt.GoxがBTC・BCHによる弁済を発表2024年6月、Mt.Goxが2014年に発生したMt.Gox事件の弁済を行うことを発表しました。Mt.Gox事件とは、2014年2月当時世界最大のビットコイン取引所であったMt.Goxにて、当時のレートにして約480億円相当ものビットコインが消失した歴史的な事件です。この事件については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも併せてお読みください。マウントゴックス(Mt.Gox)事件とは?いつ起きた?ビットコイン消失の全貌とその後を徹底解説この弁済はビットコインおよびビットコインキャッシュで行われるとも発表され、ビットコインは事件当時から数十倍にまで高騰していたため、弁済を受けた大多数の人々は利確のため売却を行うことが予想されました。この多額のビットコインの売却は急落を引き起こしかねないと予期し先んじて売却をする投資家が現れたためか、ビットコインの価格は下落傾向に転じ、8月に入ると一時1BTCあたり8,200,000円ほどにまで急落しました。米大統領選でトランプ大統領が当選2024年11月、米大統領選でトランプ大統領が当選しました。ドナルド・トランプ現大統領とカマラ・ハリス氏の対決となった今回の米大統領選では、仮想通貨に関する話題も多く、米大統領選期間を通して仮想通貨市場は盛り上がりを見せていました。トランプ大統領はかねてより仮想通貨推進派としてアメリカを仮想通貨の中心地にするとの発言をしていましたが、対するカマラ・ハリス氏は反対とまではいかないまでも仮想通貨にあまり乗り気ではありませんでした。結果的にトランプ大統領が当選確実となった段階で仮想通貨市場は熱狂、一気にバブルに突入し、11月初頭の投開票が行われる前には10,000,000円ほどだったところから12月には一時1BTCあたり16,000,000円を超える瞬間があるほどにまで高騰しました。まとめここまで、仮想通貨の歴史について、2023年~2024年を見てきました。最後に、簡単にトピックをまとめておきましょう。2023年6月:米SECがコインベースとバイナンスを提訴2023年6月:ブラックロック社がビットコイン現物ETFを申請2023年7月:リップル裁判でリップル社が一部勝訴2024年1月:米SECがビットコインETFを承認2024年4月:ビットコイン4回目の半減期を迎える2024年6月:Mt.GoxがBTC・BCHによる弁済を発表2024年11月:米大統領選でトランプ大統領が当選2023年は2022年にバブルが弾けた余波から復調傾向にはあり、ビットコイン現物ETFの申請などプラス材料はあるものの、決定的な材料はなかなか出てきませんでした。ですが、2024年になるとそんな低迷は一転、ビットコイン現物ETFの承認から始まり、4回目の半減期、仮想通貨推進派であるトランプ大統領の当選と、ビットコインだけでなく仮想通貨市場全体に追い風が吹き続け、価格が伸び続けた一年となりました。この2年間でビットコインは価格を4倍にまで伸ばしており、仮想通貨のボラティリティの大きさが目に見えてわかる期間でしたが、ひとえに仮想通貨推進派であるトランプ大統領への期待によって発展したと言える面があります。仮想通貨は2025年6月現在でも購入を続ける企業や国家があり、未だ発展が続いていくことを期待されてはいるものの、今回の大統領選のようにどうしてもアメリカの動向次第で大きく価格が動いてしまう現状があります。もちろん、アメリカ以外にもアンテナを張っておく必要がありますが、特にアメリカの今後の動向には注目しながら慎重に立ち回っていきたいですね。関連記事【~2008年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.1【2009年~2010年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.2【2011年~2012年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.3【2013年~2014年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.4【2015年~2016年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.5【2017年~2018年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.6【2019年~2020年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.7【2021年~2022年】仮想通貨・ビットコインの歴史を学ぼう Vol.8