2024年1月にビットコインの現物ETFが承認され、同年5月にはイーサリアムの現物ETFが承認されましたね。この記事を読んでいる方の中には、「ビットコインETFって何?」「仮想通貨のETFってどんな特徴があるの?」「ビットコインETFやイーサリアムETFって日本でも買えるの?」と思っている人もいるでしょう。そこで今回は、仮想通貨のETFの特徴や、日本国内から買えるのか、仮想通貨のETFの影響やメリットについてを分かりやすく解説していきます。そもそもETFとはETFは「Exchange Traded Fund」の略語であり、日本語では「上場投資信託」や「指数連動型上場投資信託」と言います。ETFとは、特定の指数に連動するように設計されている投資信託で、証券取引所で取引をすることができます。投資信託とは、多くの投資家からお金を集めて、専門家が株式や債券などに投資をして運用する金融商品のことで、投資家は、投資額に応じて運用益を得ることができます。そんなETFが扱っている銘柄は株式だけでなく、金(ゴールド)や不動産など多岐にわたります。そのため、証券取引所にて株式以外の銘柄を、個人が気軽に売買できるというメリットがあります。また、ETFは金融商品の現物に投資する現物ETFだけでなく、元の投資対象に「2倍」などのレバレッジをかけて運用するレバレッジ型のETFなどもあります。仮想通貨ETFの特徴仮想通貨ETFは、その名のとおり投資先が仮想通貨となっているETFです。仮想通貨の取引は通常、仮想通貨取引所やDeFiで売買を行いますが、仮想通貨ETFは他のETFと同じように、証券取引所で取引します。そのため、仮想通貨取引所の口座開設や仮想通貨ウォレットの取得をしなくても、証券会社の口座さえあれば、仮想通貨ETFへの投資ができます。そんな仮想通貨ETFの代表例が、ビットコインETFです。ビットコインETFは、ビットコイン現物価格に連動する「現物ETF」と、先物価格に連動する「先物ETF」があります。ビットコインの「現物ETF」や「先物ETF」は、他の株式や金ETFと同様に、ビットコインの現物価格や先物価格に連動するように設計されています。現物ETF仮想通貨の現物ETFは、2021年2月にビットコインの現物ETFが世界で初めてカナダで承認され、その後は2024年1月11日にSEC(米国証券取引委員会)でも承認されました。仮想通貨の現物ETFの価格は、投資対象の仮想通貨の現物価格との連動を目指して設計されています。一般的に、ETFにすることで市場における流動性が向上し、取引に際する利便性は向上します。そのため、仮想通貨においても、ETFが承認されたことによって今まで仮想通貨市場に参加していなかった投資家が参加しやすくなり、巨額な資金が流入し、仮想通貨の価格も上昇する可能性があります。先物ETF仮想通貨の先物ETFは、2021年10月19日にビットコインの先物ETFがSEC(米国証券取引委員会)によって初めて承認されました。先物ETFとは、仮想通貨の先物取引に投資を行うETF、または先物取引の価格を用いる指標(インデックス)に連動するETFのことです。SECでビットコインの先物ETFが現物ETFよりも先に承認された背景としては、もともとビットコイン先物が、世界最大規模の先物市場であるアメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場されていました。そのため、ビットコイン先物は、価格操作の対策がしっかりされていると判断され、現物よりも先にETFが承認されたと考えられています。仮想通貨のETFは日本国内でも買えるのかここまで、仮想通貨のETFについて特徴を簡単に説明してきましたが、「じゃあビットコインETFとかって、日本でも買えるの?」という疑問を抱いている方も多いことでしょう。結論から述べると、2024年6月現在、日本国内の証券会社からビットコインETFなどの仮想通貨ETFを購入することはできません。アメリカやカナダ、香港では、ETFの承認がなされて取引ができますが、日本では仮想通貨ETFが申請されておらず、また海外の仮想通貨ETFを取り扱っている国内の証券会社もありません。その理由として、日本の投資信託法では、「特定資産」と呼ばれるもののみが投資信託の対象として定められていて、株式や金などはこれに含まれますが、仮想通貨は「特定資産」に含まれていません。「特定資産」でなければ投資信託に組み入れられないため、国内の証券会社は、仮想通貨をETFに組み込めないというわけです。そのため、国内で仮想通貨ETFができるようになるためには、何かしらの法改正が必要になります。また、海外取引所に上場したETFが国内の証券会社で取り扱われるためには、日本の金融庁に向けた申請が必要ですが、現在そのような動きもありません。しかし、海外で仮想通貨ETFが承認されたことは、大きなニュースになりましたし、日本でも今後は取り扱えるようになるのではという期待が高まっています。仮想通貨のETFの種類・銘柄 ではここからは、仮想通貨ETFの代表例であるビットコインETFイーサリアムETFこの2つについて、承認された銘柄を紹介していきます。ビットコインETFビットコインETFは、現物ETFが2021年2月にカナダで承認されました。その後は、ブラジルやスイス、ドイツ、フランス、オランダなどの証券取引所にも上場され、2024年1月11日にSECでも以下の11本のETFが承認されました。ティッカー銘柄名称BITBBitwise Bitcoin ETP TrustARKBARK 21Shares Bitcoin ETFFBTCFidelity Wise Origin Bitcoin TrustBTCWWisdomtree Bitcoin TrustBTCOInvesco Galaxy Bitcoin ETFBRRRValkyrie Bitcoin FundIBITiShares Bitcoin TrustHODLVanEck Bitcoin TrustEZBCFranklin Bitcoin ETFDEFIHashdex Bitcoin ETFGBTCGrayscale Bitcoin Trust現在では、上記にあげた国以外でもビットコインの現物ETFが取引できますが、先ほども述べた通り、日本ではまだ取引ができない状況です。また、ビットコインの先物ETFに関しては、2021年10月19日にSECに承認され、それからいくつもの銘柄が承認されています。ティッカー銘柄名称BITOProShares Bitcoin Strategy ETFBITSGlobal X Blockchain & Bitcoin Strategy ETFBITCBitwise Bitcoin Strategy Optimum Roll ETF上記にあげた銘柄以外にも多くの銘柄が上場しており、アメリカをはじめとする海外では、ビットコインの現物ETFや先物ETFを多く取り扱っています。イーサリアムETFイーサリアムETFは、2024年5月23日に現物ETFが承認されました。5月にSECによって承認されたイーサリアムの現物ETFの銘柄は以下になります。Grayscale Ethereum TrustBitwise Ethereum ETFiShares Ethereum TrustVanEck Ethereum TrustARK 21Shares Ethereum ETFFidelity Ethereum FundFranklin Ethereum ETFまた、イーサリアムの先物ETFは2023年10月に承認されています。以下は、イーサリアムの先物ETFの銘柄です。ティッカー銘柄名称EFUTVaneck Ethereum Strategy ETFEETHProshares Ether Strategy ETFAETHBitwise Ethereum Strategy ETF他にも、ビットコイン+イーサリアムの先物ETFのなども以下のようにいくつかあります。ティッカー銘柄名称BTOPBitwise Bitcoin and Ether Equal Weight Strategy ETFBTFValkyrie Bitcoin and Ether Strategy ETFBETHProShares Bitcoin & Ether Market Cap Weight Strategy ETFBETEProShares Bitcoin & Ether Equal Weight Strategy ETFイーサリアムの現物ETFと先物ETFもビットコインのETFと同じように、上記にあげた銘柄以外にも多くの銘柄が上場しています。仮想通貨のETFの影響やメリットここまで、仮想通貨ETFの特徴や銘柄を紹介してきましたが、最後に仮想通貨ETFの影響やメリットについて解説していきます。仮想通貨ETFが承認されたことによる影響は、以下になります。仮想通貨市場への参加者が増えるハッキングの心配なく仮想通貨取引ができる税金面で有利になる場合がある日本国内では、まだ仮想通貨ETFの取引ができないため、すぐにこの恩恵を受けられないものもありますが、今後日本でも承認されたら、様々な影響がありそうですね。仮想通貨市場への参加者が増える1つ目は、仮想通貨市場への参加者が増えることです。仮想通貨ETFの承認によって、それまで仮想通貨投資を行っていなかった投資家が、仮想通貨ETFを取引する可能性があります。参加者が増えるということは、仮想通貨市場へ多くの投資資金が流入し、価格の流動性が高くなります。大きな金額で取引をする機関投資家やトレーダーにとっては、価格の流動性の高さは非常に大事なポイントです。流動性が低いと、買いたい価格や売りたい価格で売買が成立しにくくなってしまうためです。ですので、参加者が増え、資金流入も増え、価格の流動性が高くなれば、より多くの投資家が参加する可能性があり、仮想通貨市場の規模拡大へと繋がります。さらには、仮想通貨ETFを買いたい人が増えれば、価格の上昇も期待できます。ハッキングの心配なく仮想通貨取引ができる2つ目は、仮想通貨ETFで取引を行う場合は、仮想通貨取引所や自分のウォレットのハッキング被害の心配がなくなります。通常、仮想通貨を直接購入する際は、仮想通貨取引所の口座を開設する必要があり、本人確認の手続きなど面倒な作業が発生します。しかし、仮想通貨ETFであれば、証券会社を通して取引することができるため、仮想通貨取引所の口座を開設する必要がなくなり、取引所のハッキングリスクを防ぐことができます。また、自分で仮想通貨を保管する場合もウォレットのハッキングリスクが伴いますが、仮想通貨ETFなら投資家が仮想通貨を保管する必要がないため、そのリスクもありません。さらに言えば、仮想通貨がETFとして承認されたということは、セキュリティや価格操作の対策など、投資家保護が一定の水準を満たしていると判断されたことを意味していますので、投資する上での安心材料にもなりますね。また他のメリットとしては、自分で仮想通貨を直接購入するとなったら、事前に取引所の開設方法や仮想通貨の買い方など情報や知識を学習しておく必要がありますが、すでに証券会社の口座を保有していて、他のETFや銘柄を取引した経験がある方であれば、新たな学習コストも少なくて済みます。税金面で有利になる場合がある3つ目は、仮想通貨ETFの取引なら税金面で有利になる場合があります。仮想通貨の取引における所得は、所得税の「雑所得」に分類されています。これは、所得が高くなるほど税率も高くなり、支払う税金が多くなります。【最大55%】仮想通貨(暗号資産)の税金がやばい仕組みとは?高すぎる理由と節税対策を紹介一方で、ETFになると、その所得は株や投資信託の所得と同じように「譲渡所得」として分類されます。「譲渡所得」は、申告分離課税の対象で、所得が高くなっても税率は一定であるため、大きな利益が出た時には「雑所得」に比べて税金の負担が少なくなります。まとめいかがでしたか?今回は、仮想通貨のETFについて説明しました。最後に本記事の内容をおさらいしておきましょう。仮想通貨ETFとは、投資先が仮想通貨となっているETF仮想通貨取引所の口座や仮想通貨ウォレットがなくても、証券会社の口座さえあれば、仮想通貨ETFへの投資ができる現物価格に連動する「現物ETF」と、先物価格に連動する「先物ETF」がある2024年6月現在、日本国内の証券会社からは仮想通貨ETFを購入できない仮想通貨ETFの影響やメリット1. 仮想通貨市場への参加者が増える2. ハッキング被害の心配がなくなる3. 税金面で有利になる場合がある仮想通貨のETFは、今後他の通貨でも承認される可能性があります。そうなると、もっと参加者が増え、仮想通貨市場が普及していくと考えられます。日本国内から仮想通貨ETFの取引ができないのは残念ですが、今後取引できるようになっていくことを期待したいですね。