イーサリアム(ETH)のETFとは?日本でも買える?特徴やメリット、承認時期を解説
2024.08.26
/
2024.08.26
この記事を書いた人
クリプトリンク編集チーム
クリプトリンク編集チーム
仮想通貨の税金や確定申告についての知識や情報を網羅的にお伝えできるよう心がけています。また、複雑なNFT取引やDeFi等の収支計算方法も分かりやすくまとめた記事も配信しています。仮想通貨投資家に役立つ知識を実践的に学べ、確定申告で適切な税金を納められるような情報をお届けしていきます。
最近話題に上がっているイーサリアムETF。
「ETFは知っているけど、イーサリアムETFって何?」
そう思っている方もいるのではないでしょうか。
イーサリアム(ETH)は、仮想通貨(暗号資産)の中ではビットコインに次いで2番目に、ETFが承認されました。
そして、2024年7月には、イーサリアムETFの取引開始のニュースが流れ、興味を持ち始めた人もいるでしょう。
そこで今回は、イーサリアムETFの特徴や仕組み、メリットや日本でも買えるのかについて解説していきます。
イーサリアムETFとは
イーサリアムETFとは、その名の通り、イーサリアム(ETH)の価格に連動したETF取引のことです。
そもそもETFとは、「Exchange Traded Fund」の略語で、特定の指数に連動するように設計されている投資信託になります。
ETF取引では、直接その資産を保有することなく、その価格に対する相場の動きに投資することができます。
つまりイーサリアムETFは、イーサリアムの値動きに連動した投資信託に投資をするという取引になります。
仕組み・特徴
投資信託とは、多くの投資家からお金を集めて、専門家が株式や債券などに投資をして運用する金融商品のことで、投資家は、投資額に応じて運用益を得ることができます。
また、ETFは金融商品の現物に投資する現物ETFだけでなく、元の投資対象に「2倍」などのレバレッジをかけて運用するレバレッジ型のETFなどもあります。
イーサリアムなどの仮想通貨の取引は通常、仮想通貨取引所やDeFiで売買を行いますが、イーサリアムETFは他のETFと同じように、証券取引所で取引します。
そのため、仮想通貨取引所の口座開設や仮想通貨ウォレットの取得をしなくても、証券会社の口座さえあれば、イーサリアムETFへの投資ができます。
仮想通貨のビットコインETF/イーサリアムETFとは?特徴や仕組みを分かりやすく解説
2023年10月にETHの先物ETFを承認
イーサリアムETFは、現物ETFと先物ETFがありますが、どちらも取引できるようになるには、ETF銘柄が証券取引所へ上場する必要があります。
証券取引所に上場するためには、証券取引委員会(米国の証券委員会SECが有名)によって承認されなければなりません。
ビットコインやイーサリアムのETF承認までは、様々な経緯があり、何度か不承認されたこともありました。
しかし、イーサリアムETFの前にビットコインETFが承認されたことなどを受けて、2023年10月にイーサリアムの先物ETFが承認されました。
以下はイーサリアムの先物ETFの銘柄です。
これ以外にもいくつかの銘柄が承認され、今では米国の証券取引所等で取引されています。
ティッカー | 銘柄名称 |
---|---|
BTOP | Bitwise Bitcoin and Ether Equal Weight Strategy ETF |
BTF | Valkyrie Bitcoin and Ether Strategy ETF |
BETH | ProShares Bitcoin & Ether Market Cap Weight Strategy ETF |
BETE | ProShares Bitcoin & Ether Equal Weight Strategy ETF |
上記のように、イーサリアムETFがたくさんあるのは、それぞれが別々の資産運用会社のETF銘柄になっているからです。
また他にも、ビットコインとイーサリアムを合わせた先物ETFも存在しています。
ティッカー | 銘柄名称 |
---|---|
EFUT | Vaneck Ethereum Strategy ETF |
EETH | Proshares Ether Strategy ETF |
AETH | Bitwise Ethereum Strategy ETF |
2024年5月にETHの現物ETFを承認
2023年10月にイーサリアム先物ETFが承認された後、2024年5月23日にイーサリアム現物ETFがSEC(米国証券取引委員会)によって承認されました。
この時承認された銘柄は以下になります。
Grayscale Ethereum Trust
Bitwise Ethereum ETF
iShares Ethereum Trust
VanEck Ethereum Trust
ARK 21Shares Ethereum ETF
Fidelity Ethereum Fund
Franklin Ethereum ETF
ビットコインETFの時もそうでしたが、現物ETFよりも先物ETFの方が先に承認されました。
その理由としては、もともとビットコインの先物取引が、世界最大規模の先物市場であるアメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場しており、CMEに上場しているということは、悪質な価格操作などで健全な相場ではなくなる可能性が低いと判断されたからであると考えられています。
そして、先物ETFが承認されたことで、その通貨の相場の健全性や投資家からの需要などにより、現物ETFの方も承認に至ったと思われます。
イーサリアムETF承認によるメリット・デメリット
イーサリアムETF承認によるメリット
では、イーサリアムETFが承認され、取引できるようになることのメリットは何でしょうか。
それは主に、以下の4つが挙げられます。
仮想通貨市場への参加者が増える
イーサリアムの価格が上昇する可能性がある
ハッキングの心配なく仮想通貨取引ができる
税金面で有利になる場合がある
仮想通貨市場への参加者が増える
まずは、仮想通貨市場への参加者が増えることです。
ETF取引ができなければ、先ほども述べたとおり、仮想通貨取引所やDeFiで直接イーサリアムを購入する方法しかありません。
しかしETF取引では、仮想通貨取引所のアカウントや仮想通貨ウォレットを持っていなくても証券会社を通して取引をすることができます。
そのため、今まで仮想通貨市場に参加していなかった新しい投資家が参加する可能性があります。
イーサリアムの価格が上昇する可能性がある
2つ目は、参加者が増えることに伴って、イーサリアムの価格が上昇する可能性があることです。
これは理解しやすいと思いますが、需要が増えれば価格の上昇につながるということですね。
ただ、イーサリアムの価格上昇は単純に売買したい人にとってはメリットかもしれませんが、一方でデメリットに感じる人もいます。
それは、イーサリアムネットワーク上でスワップしたりNFTの売買をしたりしている人です。
イーサリアムネットワーク上での取引の際は、取引時にガス代(取引手数料のようなもの)を支払うのですが、イーサリアムの価格が上がると、このガス代もどんどん高くなっていってしまうのです。
そのため、イーサリアムの価格上昇はメリットでもありデメリットでもあります。
ハッキングの心配なく仮想通貨取引ができる
3つ目は、ハッキングリスクを減らせるということです。
これまで、仮想通貨取引所がハッキングされて資産が盗まれたというニュースを目にした方もいるでしょう。
そのようなニュースを目にすると、仮想通貨へ投資するのが怖いなと思ってしまうかもしれません。
しかし、ETF取引なら、証券会社からイーサリアムのETF銘柄を購入することになるため、仮想通貨取引所や自分のウォレットのハッキング被害の心配がなくなります。
税金面で有利になる場合がある
最後は、ETF取引は、通常のイーサリアムの売買よりも税金面で有利になる場合があることです。
通常のイーサリアムの売買による所得は、所得税の「雑所得」に分類されており、所得が高くなるほど税率も高くなり、支払う税金が多くなります。
【初心者必見】仮想通貨(暗号資産)の税金とは?基本の計算から確定申告まで丸わかり
しかし、ETF取引は、株や投資信託の所得と同じように「譲渡所得」として分類されます。
「譲渡所得」は、申告分離課税の対象で、所得が高くなっても税率は一定であるため、大きな利益が出た時には「雑所得」に比べて税金の負担が少なくなります。
ただ、米国の証券取引所に上場されているイーサリアムETFを日本人が購入するのは、一般的な米国株の購入とは異なり、分離課税の対象にならず総合課税の対象となる可能性もあるようですので、注意が必要です。
イーサリアムETF承認によるデメリット
イーサリアムのETF承認によるメリットをいくつか説明してきましたが、ETF承認はいいことばかりではありません。
イーサリアムETFのデメリットや懸念点としては、以下が考えられます。
イーサリアムの現物取引と税制上の差異が残る可能性がある
イーサリアムETFはステーキングができない
イーサリアムの現物取引と税制上の差異が残る可能性がある
現在日本では、資金決済法に基づいて金融庁の登録を受けた暗号資産交換業者(取引所)を通じて暗号資産の取引を行うことがほとんどです。
この取引による所得は、先ほども述べたように所得税の「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。
しかし、イーサリアムETFが日本国内でも承認・上場されると、ETF取引は「譲渡所得」として申告分離課税の対象になります。
そうなると、投資家にとっては、申告分離課税になる取引の方が所得にかかる税金を安く抑えられる可能性があるため、暗号資産取引所での売買が減ってしまうことが考えられます。
ETFを承認することで、投資家を増やすことは期待できますが、こうした税制上の差異を残したまま日本国内で仮想通貨のETFが取引できるようになることに対しては、暗号資産取引所などから抵抗や反発がある可能性もあります。
イーサリアムETFはステーキングができない
ステーキングという取引は、仮想通貨の保有者が一定数量のトークンをブロックチェーンネットワークに預けて、ブロックチェーンの安定稼働に貢献した対価として報酬を得ることです。
持っている仮想通貨を預けておくだけで、報酬を得ることができるため、不労所得が得られる仮想通貨取引として、近年注目されています。
しかし、イーサリアムETFを証券会社で購入した場合には実際にイーサリアムを保有していることにはならないので、ETHのステーキングができません。
一方でイーサリアムの現物を買う場合は、仮想通貨取引所やDeFi等で、ETHのステーキングができることもありますので、ステーキングに興味がある人にとっては、イーサリアムETFがあまり魅力的ではないかもしれないですね。
仮想通貨のステーキングとは?仕組みや損益計算方法と税金について詳しく解説
イーサリアムETFは買える?
取引開始はいつから?
2024年5月23日に承認されたイーサリアム現物ETFは、同年7月23日に、ブラックロック、フィデリティ、ヴァンエックなどの米国の資産運用会社で取引が開始されました。
今回、正式に取引開始の許可がおり、上場をはたしたのは6銘柄となっており、7月31日時点では以下の9銘柄の取引ができるようになっています。
ティッカー | 銘柄名称 |
---|---|
ETHA | iShares Ethereum ETF |
CETH | 21Shares Core Ethereum ETF |
FETH | Fidelity Ethereum Fund ETF |
QETH | Invesco Galaxy Ethereum ETF |
ETHV | VanEck Ethereum ETF |
ETHW | Bitwise Ethereum ETF |
ETHE | Grayscale Ethereum Trust |
ETH | Grayscale Ethereum Mini Trust |
EZET | Franklin Ethereum ETF |
日本からでも買える?
結論から言うと、イーサリアムETFは銘柄が上場している証券取引所で買う必要がありますが、2024年8月現在、日本の証券取引所ではイーサリアムETFの取引は行われていないため、日本の証券会社では、イーサリアムETFに投資することはできません。
日本の投資信託法では、「特定資産」と呼ばれるもののみが投資信託の対象として定められていて、株式や金などはこれに含まれますが、仮想通貨は「特定資産」に含まれていません。
「特定資産」でなければ投資信託に組み入れられないため、国内の証券会社は、仮想通貨をETFに組み込めないのです。
ですが、2024年8月20日には、ブラックロックのイーサリアムETF「iShares Ethereum Trust(ETHA)」が米国上場のイーサリアムETFで初めて、累積の純流入額が10億ドルを突破したなどのニュースが流れ、イーサリアムETFへの需要が高まっていることがわかります。
ですので、今後は米国などのように、日本の証券取引所でもイーサリアムETFが上場する可能性はあるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、イーサリアムETFのついて、特徴や仕組み、メリットや日本でも買えるのかなどを解説してきました。
最後に記事の内容をおさらいしましょう。
イーサリアムETFは、イーサリアムの値動きに連動した投資信託に投資をするという取引
2023年10月にイーサリアム先物ETFが承認された
2024年5月にイーサリアム現物ETFが承認された
2024年7月からイーサリアム現物ETFが米国で取引開始
イーサリアムETFのメリット
仮想通貨市場への参加者が増える
イーサリアムの価格が上昇する可能性がある
ハッキングの心配なく仮想通貨取引ができる
税金面で有利になる場合がある
イーサリアムETFのデメリット
イーサリアムの現物取引と税制上の差異が残る可能性がある
イーサリアムETFはステーキングができないイーサリアムETFは2024年8月現在、日本からは買えない
イーサリアムETFは、日本国内から取引ができないのは残念ですが、他国のETFが広まっていくにつれ、日本でも今後取引できるようになっていくことを期待したいですね。
免責事項
このブログは、記事上部に記載のある投稿日時点の一般的な情報を提供するものであり、投資等の勧誘・法的・税務上の助言を提供するものではありません。仮想通貨の投資・損益計算は複雑であり、個々の取引状況や法律の変更によって異なる可能性があります。ブログに記載された情報は参考程度のものであり、特定の状況に基づいた行動の決定には専門家の助言を求めることをお勧めします。当ブログの情報に基づいた行動に関連して生じた損失やリスクについて、当社は責任を負いかねます。最新の法律や税務情報を確認し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。当社の事前の承諾なしに、当ブログに掲載している内容の複製・転用を禁止します。
新着記事
新着記事
月額300円台から使える!
仮想通貨の確定申告
損益計算ツール
クリプトリンク
サービスサイトはこちら