仮想通貨取引所を利用していると、取引所にもよりますがさまざまな取引形態があることがわかりますよね。そんな取引形態の中でも、多くの取引所に存在し、特によく利用されているのは「取引所」か「販売所」という取引形態です。ですが、この取引所と販売所、どちらも現物を購入できるという点では同じで、積極的に利用されたことがない方の中にはこのような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。「取引所と販売所はどう違う?」「違いは知っているけれど、どちらを使っても同じでは?」「使い分ける基準はあるの?」そこで本記事では、取引所と販売所の違いからその使い分け方までわかりやすく解説していきます。仮想通貨の販売所とは販売所は、ユーザーと販売所運営者(交換業者)との間で取引を行う形態で、運営者が設定した価格(多くの場合、市場価格に連動して変動する)で売買を行います。多くの場合、ユーザー側は取引価格を指定して売買するいわゆる「指値注文」はできず、すべてその時点で設定されている価格で「成行注文」する形になります。ですので、ユーザーは市場に合わせて変動する価格を見ながら、売買したい価格になった時に「ETHを10枚購入」というような発注をすることになります。また、多くの販売所では取引手数料が無料のかわりに「スプレッド」と呼ばれるものが設定されています。スプレッドとは、ある時点での仮想通貨の購入価格と売却価格の間に設けられる差のことで、これが販売所における実質的な手数料として発生してきます。たとえば、ETHがある時点で500,000円の時価を付けていたとすると、販売所では購入価格505,000円、売却価格が495,000円でスプレッド10,000円が設定されている、といったイメージです。仮想通貨の取引所とは取引所は、主にユーザーとユーザーとの間で取引を行う形態で、その時点で注文の入っている価格で即時約定を行う「成行注文」と、価格を指定して注文を出す「指値注文」といった方法で売買を行います。ユーザー側で「この価格なら購入/売却する」という価格を買い注文や売り注文として出しあい、それらの注文が並べられた「板」と呼ばれる一覧を見ながら、ユーザーは成行注文や指値注文を行っていく形になります。ですので、ユーザーは「ETHが500,000円以下になったらその価格で10枚購入」というような狙った価格での取引ができる一方で、この注文に対応した「ETHが500,000円(もしくはそれ以下)で売る」という注文がETH10枚分以上なければ、狙った価格になっても10枚購入することはできません。また、多くの取引所では取引が約定するごとに取引価格の0.1%などの手数料が設定されています。中には、メイカー注文(板に並べる指値注文)であれば、約定時に手数料をもらえるシステムを導入している取引所もあります。販売所と取引所の違いここまで紹介した販売所と取引所の内容から、違いをまとめてみましょう。取引相手が違う販売所ではユーザーと運営者の間で取引する。取引所では取引所を利用しているユーザー同士で取引する。注文・約定の仕組みが違う販売所ではすべて成行注文で、運営者が設定した価格で即時約定する。取引所では指値注文と成行注文ができ、その時点で注文が入っている価格の中で自分が設定した価格よりも有利な価格があれば約定する。手数料の仕組みが違う販売所では手数料は無料だが、スプレッドという購入価格と売却価格の差が実質的な手数料として発生する。取引所では約定毎に手数料が発生する場合が多いが、中にはメイカー注文では手数料をもらえるシステムも存在する。まとめると、このような違いがありました。では、ここからそれぞれにどのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。販売所のメリット・デメリット取引所と比べた際の販売所のメリットは以下のようなものが挙げられます。業者との取引のため、素早く大量の仮想通貨を取引できる暴騰・暴落など価格変動が大きい状況でも売買が成立する価格を見て購入・売却をするだけのため、シンプルな操作で取引できる同じ企業のサービスでも取引所より取り扱い銘柄が多い場合が多い一方で、販売所のデメリットには以下のようなものがあります。ほとんどの場合、スプレッドの幅は取引所の手数料より広く、取引所の価格より不利な価格で売買することになる指値注文ができない場合が多いため、目的の価格で注文を出しておくといった複雑な取引ができない現物取引のみのため、手元に資金がある状態でなければ取引ができない取引所のメリット・デメリット販売所と比べた際の取引所のメリットは以下のようなものが挙げられます。スプレッドがない場合がほとんどで、手数料を含めても販売所より有利な価格で売買ができる成行・指値注文などができ、目的の価格で注文を出しておくといった取引が可能取引所では現物取引以外にもレバレッジ取引も提供されていることがあり、証拠金を用いて資金以上の仮想通貨を運用するなど柔軟な取引が可能一方で、取引所のデメリットには以下のようなものがあります。ユーザー間での取引のため、対応する注文がなければ取引が成立せず、約定まで時間がかかる、欲しい数量すべてが約定しないこともある注文板から価格を決める、注文方式を決めるなど、販売所と比べ知識が必要で操作も複雑同じ企業のサービスでも取引所より取り扱い銘柄が少ない場合が多いどちらを使うのがいい?結局のところ、販売所と取引所のどちらを利用するのがよいのでしょうか?それは、どのような取引がしたいのか、によります。ですので、どういった取引をしたい場合にどちらのサービスが適しているのか、いくつか例を挙げながらまとめていきます。販売所の利用が向いている場合取引が初めて、とりあえず取引を行ってみたい、といった複雑な注文に不慣れな初心者暴騰・暴落など相場が大荒れしているときに取引を確実に成立させたい送金や支払いに使いたい場面や、近々大きな変動が起こると予測したときなど、素早く確実に約定させたい長期保有のためスプレッド程度の差額は気にせず、特定の数量を確実に確保したい取引所の利用が向いている場合デイトレードやスイングトレードで取引を頻繁に行うため、スプレッドや手数料の負担を抑えたい指値注文、逆指値注文などを利用して、細かく価格を決めて取引を行いたいレバレッジ取引など柔軟な取引を行いたいこのように、行いたい取引によってどちらのサービスが適しているか変わってきますので、まず自分がどのような取引を行っていきたいか計画を立ててから、サービスを選んでいきましょう。まとめここまで販売所と取引所の違いと、どちらを利用するのが適しているかについて解説してきました。最後に簡単におさらいしておきましょう。販売所と取引所は、取引相手、注文・約定の仕組み、手数料の仕組みといった違いがある販売所は、素早く大量に素早く大量に、かつ荒れ相場でも確実に取引できるといったメリットがあるが、スプレッドがあり取引所より不利な価格になるデメリットがある取引所は、販売所よりスプレッドや手数料負担が小さいメリットがあるが、約定まで時間がかかる、全量約定できない可能性があるデメリットがあるそれぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の行いたい取引に合わせてサービスを選ぶことが大切販売所も取引所も一長一短の特徴があり、どちらが良いというものではありません。また、これ以外にも仮想通貨取引にはさまざまな取引形態があり、自分の行いたい取引に合ったサービスを探すのは大変かもしれませんが、この柔軟さこそ仮想通貨取引の長所でもあります。今回の記事では販売所と取引所の違いや使い分けを紹介しましたが、興味のある方はぜひ他の取引形態についても調べてみることをおすすめします。