仮想通貨の損益の計算は、基本的に一年単位(個人であれば1月1日〜12月31日)で計算を行います。ただ、その年の計算を行う上で、期首(1月1日時点)に仮想通貨を保有している場合は、その保有している仮想通貨の数量とその仮想通貨の取得価格が必要になってきます。この情報を知るためには過去分の仮想通貨の計算をすることが必要となります。そこで本記事では、損益計算ツール「クリプトリンク」を利用して、仮想通貨の収支計算を複数年度行う方法を解説します。ぜひご覧ください。仮想通貨の損益計算方法仮想通貨の損益の計算は一年毎に行います。その際、通貨毎に① ボーナスやステーキング報酬、マイニング報酬など通貨を受け取ることで発生する利益② 売却、仮想通貨同士の交換、決済等で生じる損益この2つを計算します。また、年度をまたいで暗号資産を所持する場合には、翌年の期首の数字を算出するために、各通貨の取得単価を計算します。①では受け取ったタイミングの時価で利益が発生します。例えば0.1ETH(この時のETHの時価:1ETH=50万円)を受け取った場合、5万円の利益が発生します。②では通貨毎に総売却額 - ( 売却数 × 平均取得単価 )で計算を行いを算出します。平均取得単価は仮想通貨を購入したり報酬で受け取った時の時価を取得数量で割り戻した値となるため、通貨を取得した情報が必要になります。例えば、2BTCを1,600万円で購入0.5BTCを報酬で受け取り(この時のBTCの時価:1BTC=1,000万円)上記の取引で通貨を取得した場合( 1,600万円 + 500万円 ) ÷ ( 2BTC + 0.5BTC ) = 760万円となり、平均取得単価が760万円となります。損益の計算については1年毎に行いますが、取得原価については次年度以降の計算でも必要な情報です。例えば2022年〜2024年にかけて通貨を購入して、2024年にその通貨を売却した場合、損益が発生するのは2024年のみですが、取得の情報は全ての年度のものが必要となります。詳しい損益の計算方法については、以下の記事を参考にしてください。【仮想通貨(暗号資産)の損益計算】総平均法の計算方法を解説します確定申告が不要な年度の損益計算は必要?仮想通貨の利益は雑所得に含まれています。雑所得は、給与所得があり、年末調整を行っている方で利益が20万円以上の場合、確定申告が必要となります。そのため、仮想通貨取引を行っていても、利益がでていない年の損益計算はおこなっていないという方もいるのではないでしょうか?上記に記載しましたが、仮想通貨の損益計算は 総売却額 - ( 売却数 × 平均取得単価 )で計算を行います。その際、平均取得単価は対象の年度以前に購入や報酬で受け取った仮想通貨も含めて計算を行う必要があります。つまり、確定申告が必要のない年度の計算をしていない場合でも、その年度に購入した仮想通貨の平均取得単価を計算する必要があります。ですので、もし、売却する年度以前に仮想通貨を購入している場合は、購入した年度から計算をおこなう必要があります。クリプトリンクの損益計算ツールで複数年度の計算しよう今年度の計算を行う上で、過去分の計算をしておらず、期首の情報が不明の場合は過去分から計算する必要があります。クリプトリンクの損益計算ツールを使って複数年度の計算を行う方法を解説します。今回は有料プランで計算ツールを利用した際の解説を行います。STEP-0 取引所の取引履歴やウォレットを準備するまずは、取引を行った全ての年のデータを準備します。クリプトリンクでは国内取引所から海外取引所まで計33種類以上の取引所に対応しています。クリプトリンクで対応している取引所のデータの取得方法はこちらを確認してみてください。また、対応していない取引所のデータがある場合、お問い合わせいただくか、汎用形式のデータや新規明細登録機能を使って登録してください。その他にもMetamask等のウォレットでDeFi等の取引を行っている方は、ウォレットアドレスを連携することで取引を登録することができます。STEP-1 クリプトリンクにアカウントを登録それでは、実際にクリプトリンクで複数年度の計算を行う方法を解説していきます。まず初めにアカウントを登録します。必要な情報を入力しアカウントの登録を行います。登録を行ったら、入力したメールアドレスに承認用URLが届くので、そちらからアカウントの登録を完了をします。国内取引所だけで取引を行っていて。1年の取引件数が100件未満で計算結果を一時的に確認するだけであれば、無料でご利用できます。登録データを保持したり、収支計算結果のレポートを作成したり、海外取引所やDeFi、NFT取引等を行っている場合は有料プランにてご提供していますので、自身にあったプランをお選びください。STEP-2 取引開始年度でデータをアップロードする取引を開始した年度で、データのアップロードを行います。取引所を選択し、データをアップロードします。アップロードしたら自動で計算が行われます。※もし、データを登録後、通貨不足エラーがある場合はそれを解消する必要があります。※通貨不足エラーがある場合はこちらをご確認ください。もし解決しない場合はお問い合わせ窓口もあるのでご利用ください。STEP-3 期末の残高を確認し、繰り越しをする全てのデータをアップロードしたら期末調整を行い繰り越しを行います。画面右上の「収支計算報告書」をクリックし、期末の調整を行います。その年の期末の数量が分かる場合は数量を確認し、期末の数量と計算結果が異なる場合は、期末の数量を入れ、調整を行います。収支計算報告書を作成し、次年度繰越を行います。STEP-4 次年度へ移行し、データを確認する次年度繰越ができたら、年度を切り替えます。下写真のように「前年度繰越」のデータが期首のデータになります。STEP-5 現在年度まで繰り越そうSTEP1〜STEP4までを繰り返して、現在年度までの計算を行います。開始年度のアップロード時に全ての期間のデータを入れた場合は、すでに対象年度にデータが反映されているため、STEP3~STEP4の操作を行い、現在年度までの計算を行います。※期末の調整を行う際に、通貨不足エラーがある場合は、データを確認して解消してください。また、ICO投資を行い、その通貨が上場した場合は手動で操作をする必要がございます。詳細はこちら計算が終わったら、期末の調整を行い収支計算報告書を作成します。※収支計算報告書は無料プランだと作成できません。※最新年度では残高の調整が行えません。収支計算報告書は確定申告に必要な情報が記載されているため、参考にしてください。また、現在年度の計算を行えば、ポートフォリオ機能や損益シミュレーション機能もご利用いただけます。まとめいかがでしたか?本記事では、損益計算ツール「クリプトリンク」で複数年度の損益を計算する方法を解説しました。仮想通貨の確定申告は申告が必要な年度のみの計算が必要というわけではなく、前年度以前に購入した、または報酬を受け取った仮想通貨が残っていたのであれば、その通貨の数量と取得価格の情報が必要となります。そのため、もし今年度利益がでたが、他の年では利益が出ておらず、計算していない方は、複数年度の計算を行わなければなりません。今年利益が出そうで確定申告が必要になりそうだけど期首の情報がない方は早めに前年までの計算を行い、今年の計算の準備をしてみてはいかがでしょうか?