「もしかして、仮想通貨で得た利益なら税金を払わなくてもバレないんじゃない?」「海外の取引所だし、申告しなくても大丈夫でしょ!」 「損益計算ややこしいから、ちょっとくらい未払いあっても仕方ないよね」こんな風に思っている方はいませんか?ですが、それは大きな間違いです。仮想通貨で得た利益は、たとえ海外取引所で取引して得たものだとしても、その利益の発生を隠し通すのはなかなか困難です。さらにこれらの税金は、規則通り確定申告をして支払った場合と違って、期日を過ぎてしまった場合や税務署に見つかってから支払う場合、ペナルティが発生します。状況によっては非常に重いペナルティがかかってくることもあるため、それを避けるためにもどういったときにどのようなペナルティがあるのか知っておいて損はありません。そこで本記事では、仮想通貨の取引をしていて確定申告が必要なのはどんなときかなぜ無申告でも見つかるのか見つかったときのペナルティとはという内容について解説していきます。最後には、ペナルティが課せられてしまう事態を避けるためにどうすればよいか、まで記載していますので、ぜひご覧ください。その他にも仮想通貨周りの税金の基礎知識について以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。【初心者必見】仮想通貨(暗号資産)の税金とは?基本の計算から確定申告まで丸わかり仮想通貨の取引をしていて確定申告が必要なのはどんなとき?最初に、仮想通貨の取引をしていて確定申告が必要になるのはどんなときでしょう?確定申告が必要なパターンに当てはまらないなら、そもそも所得税に関して無申告、未払いといった状況は起こらないので、まずはこれを確認しましょう。しかし、必要なパターンといっても、仮想通貨でいくら利益を得たか、働いている方であれば勤務形態、控除の適用を受けられるか、と、いくつかの要素を複合して考えなければなりません。ここでは一例として、他に副業をしていない一企業に勤める会社員Aさんが仮想通貨取引を始めてみた場合を考えてみます。そんなAさんの場合はわかりやすく、「仮想通貨の利益が20万円を超えたとき」に確定申告が必要になってきます。ですが、ここからAさんが副業を始めたり、勤務形態が変わって職場で年末調整ができなくなったりすると、たとえ仮想通貨の利益が20万円以下でも、確定申告が必要かどうか考え直さなければなりません。このように確定申告が必要なパターンは一人一人の状況によって変わってきますので、一度ちゃんと確認して、仮想通貨の利益がどうなったら自分は確定申告が必要なのか、明確にしておきたいですね。そのあたりについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ご一読ください。利益が20万円以下なら確定申告は不要?仮想通貨の税金について説明します仮想通貨の税金はバレないは間違い!次に、仮想通貨の税金が隠し通せない理由を解説します。もちろん、国税、税務署がどのような情報を元にどのように動いているのか正確に把握することは難しいので、ここで紹介するものは理由の一部です。一部ではあるのですが、これだけでも無申告、未払いのまま逃げ切るのは難しいということがわかっていただけるかと思います。また、仮想通貨の税金の申告に関連して、過去に有罪判決になった事例についてもご紹介します。無申告でもバレる理由調べれば取引履歴はすべてわかる取引所を利用して仮想通貨の取引をしている以上、取引履歴が残ります。取引履歴は、取引所を利用している方は一度は確認したことがあるでしょう。また、取引所を使わずにプライベートウォレット間で取引を行った場合でも、その取引内容はブロックチェーン上にすべて記録されています。これらを追跡することで細かな取引履歴まで確認できてしまうので、利益を隠し切ることは難しいと言えます。暗号資産デリバティブ取引が支払調書の提出対象に令和2年度、税制改正で暗号資産デリバティブ取引が支払調書の提出対象となりました。支払調書とは、税務署への提出が義務付けられている法定書類の一つです。内容としては、噛み砕いて説明しますと、主に事業者など報酬や料金を支払う側が「誰に、どのような内容で、いくら支払ったか」を税務署に知らせるための書類です。自分で確定申告をしなかったとしても、取引所などの事業者から税務署へデリバティブ取引の取引内容や損益といった情報が送られてしまうので、隠し通すことは難しいです。租税条約によって海外取引所でも情報が共有される「租税条約」というものを聞いたことはあるでしょうか?租税条約とは、二重課税の除去、脱税および租税回避を防止する目的のため二国間で締結される条約で、日本では租税条約ネットワークとして2024年5月現在155もの国・地域に適用されています。租税条約の内容としては、所得が生じた国が課税できるのはどのような範囲か、居住している国と所得が生じた国が違う場合に二重課税をどう避けるか、などといった内容が盛り込まれています。中でも、本記事に関連する内容で最も重要なのは、税務当局間での納税者情報の交換についても規定されていることです。たとえ海外取引所で得た利益だとしても、租税条約に則ってその情報は日本の税務署にも共有されるため、海外だから見つからないと考えるのは誤りです。国税庁がインターネットビジネス専門のチームを発足2019年には既に、国税庁がネットを介して得た収入に適正に課税する目的の専門チームを発足しています。Youtuberやネット通販、フードデリバリーなど、ネットを介して個人がさまざまな収益を上げられるようになった昨今、国税庁ではそれらの情報収集を強化しています。もちろん、仮想通貨取引も例外ではありません。専門チームを作るほど力を入れているのですから、無申告のままでいるのはリスクが高いと言えるでしょう。過去には有罪判決も過去に実際に仮想通貨の利益の申告に関して有罪判決が下された事例を紹介します。2021年、ビットコインの取引で得たおよそ2億円の利益を過少申告したとして、金沢地方裁判所は石川県の男性に有罪判決を言い渡しました。判決は、懲役1年、執行猶予3年、罰金1800万円。男性は2017年から2018年にかけて、ビットコイン取引でおよそ2億円の利益を得たにも関わらず、利益を120万円として虚偽の申告をしていたものです。実際にこうした有罪判決が下された事例もあるので、無申告や過少申告は絶対にやめましょう。無申告がバレたときのペナルティ最後に、無申告が見つかったときのペナルティについて解説します。すべての事例について、先ほど紹介した有罪判決のように罪に問われるわけではありません。なんらかの事情で遅れてしまった場合には適切に対処することでペナルティを軽いものに抑えることもできるので、もしものときに備えて知っておきたいですね。延滞税延滞税とは、納税が法定納期限までに行われなかった場合、遅れた日数に応じて発生する税金です。確定申告が必要な所得税の法定納期限は3月15日までで、これが土日などの場合は翌開庁日が期限となります。延滞税は以下のような場合に課されます。(1) 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき(2) 期限後申告書または修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき(3) 更正または決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるときそして、延滞税の計算方法は以下の①と②を合計した額になります。(注2) [令和3年1月1日以後の期間に対応する延滞税の割合]1 納期限(※)までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」の いずれか低い割合2 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合(国税庁より引用)延滞税は計算方法からもわかるように、法定納期限から遅れれば遅れるほど税額が上がっていきます。申告を忘れてしまった場合、税額を低く抑えるために一日でも早く期限後申告をすることが重要です。無申告加算税無申告加算税とは、法定納期限までに確定申告を行わなかった場合に申告によって納める税とは別に納めなければならない税です。原則として、納付すべき税額の50万円までの部分の15%、50万円を超える部分の20%の金額が無申告加算税となります。ですが、これはあくまで原則であり、場合によっては軽減されることがあります。たとえば、税務署の調査の前に自主的に期限後申告をした場合、調査の事前通知前であれば無申告加算税は納付すべき税額の5%の金額にまで軽減されます。また、期限後申告でも以下の要件をすべて満たす場合、無申告加算税は課されません。1 その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。2 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。なお、一定の場合とは、次の(1)および(2)のいずれにも該当する場合をいいます。(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。(国税庁より引用)上記の通り、申告が期限までにできなかったときには、まずは1カ月以内の申告、そして1カ月を過ぎてしまった場合でも税務署の調査の通知がされる前に自主的に申告することでペナルティを軽くすることができます。重加算税最後に重加算税ですが、これはただ申告が期限に遅れたときや、申告内容が過少だったときに課される加算税とは違い、仮装隠蔽といった悪質な行為があった場合に通常の加算税に代わる形で課される税です。仮装隠蔽とは、たとえば利益を改ざんする、隠蔽目的で申告しないなど、意図的に税金を回避するために行う不正行為のことです。重加算税は、無申告加算税に代えて適用される場合、納付税額に対し40%の税率で課されます。(過少申告加算税、不納付加算税に代えて適用される場合は35%)また、過去5年内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合、さらに10%が加算され、税率は実に50%にまで上がってしまいます。仮想通貨の税金をきちんと把握するためにここまで仮想通貨の税金はなぜ見つかるのか、見つかったときのペナルティはどういったものがあるのか、解説してきました。海外取引所を使っても隠せませんし、無申告が見つかったときには場合によっては高額な追加の税金を支払わなければならない可能性もあるので、必ず期日までに正しく申告しましょう。ですが、どれだけ正確に申告して納税する意思があったとしても、損益計算を正しく行えていなかったなんてことや、期限直前になって納税のための資金が足りなくなってしまったなんてことがあると大変です。仮想通貨の損益計算は取引の種類の豊富さから非常に煩雑で、さらに、その煩雑な損益計算によって算出された利益によって税率が変わってくる制度が適用されます。※詳しくは「【最大55%】仮想通貨(暗号資産)の税金がやばい仕組みとは?高すぎる理由と節税対策を紹介」をご覧ください。ですから、複数の取引所でさまざまな取引を行っている場合、正確に損益計算をして税額を算出するのはかなり難しく、間違えてしまうリスクも高くなります。普段からしっかりと取引所、ウォレットを管理し、どういった取引を行ったのか正確に把握しておきたいところですが、取引回数が多くなると手間がかかります。クリプトリンクでは、そんな煩雑な仮想通貨の損益計算を簡単に行えるツールを提供しておりますので、ぜひご活用ください。損益計算ツールまた、ツールを使っても損益計算が煩雑な方、損益計算に時間が取れない方向けに計算を代行するサービスも行っておりますので、こちらもご活用ください。計算代行サービスまとめ本記事では、仮想通貨の税金は無申告でもなぜ見つかるのか、見つかった場合のペナルティについて解説しました。最後に簡単におさらいしておきましょう。仮想通貨の税金は海外取引所での取引でも隠し通すのは難しい無申告の場合、延滞税、無申告加算税といった税が追加で課される期限を過ぎてしまったら速やかに期限後申告をしてペナルティを抑える現在の制度上、税金を払わなくて済むかもしれないからといって申告をせず隠し通すのは困難で、隠そうとするほどペナルティが重くなるだけです。結局のところ、期限内に正しく申告して規定通りに納税することが、追加で課税される心配がないので、一番の節税方法と言えるのかもしれません。