仮想通貨取引をしている方の中には、DEX(分散型取引所)を利用してスワップや流動性供給などの取引をしている人もいると思います。特に、Polygonチェーンで取引している場合は、QuickSwapを使っている人も多いのではないでしょうか。ただ、DEXでの取引では取引所と違い、取引履歴を簡単に確認することができないですよね。そこで今回は、QuickSwapでスワップ取引を実際にやってみて、QuickSwapのスワップ取引とは何かQuickSwapのスワップ取引のやり方QuickSwapのスワップ取引のトランザクション(取引履歴)の見方について、画像付きで詳しく紹介していきます。QuickSwapとはQuickSwapはRoc Zacharias氏によって設立されたDEX(分散型取引所)で、Polygon PoS、Polygon zkEVM、およびDogechain上で動作するDEXです。2021年5月にサービスが開始され、現在はPolygonの主要なDEXの一つとなっています。そんなQuickSwapの特徴は、トランザクションの処理速度が速く、より安価で迅速な取引を提供している流動性プールを活用したAMM(自動マーケットメーカー)の分散型取引所であるPolygonで展開されているすべてのERC20トークンをサポートしているSwapやFarm、Pool(流動性供給)だけでなく様々なゲームをプレイできるGaming Hubという独自の機能も提供している独自トークンであるQUICKを発行しているなどがあります。イーサリアムと比較して超低価格のガス代と、高速でシンプルな取引ができることがメリットですね。また、今回紹介するSwapだけでなく、様々な取引やゲームができることも魅力です。QuickSwapのスワップの種類QuickSwapのスワップ取引では、MarketLimitTWAPCross-Chain Swapsの4種類の取引方法を選択することができます。MarketとはMarketとは、一言でいうと成行注文です。Marketでスワップをする場合は、以下の3種類のやり方があります。Market(V2)Market(V3)Best Trade「Market(V2)」を選択してスワップすると、取引をする際にQuickswap V2ルーターの流動性のみが使用されるというものです。一方で、「Market(V3)」を選択してスワップすると、取引をする際にQuickswap V3ルーターの流動性のみが使用されるというものです。また「Best Trade」は、Market(V2)とMarket(V3)のうちで、可能な限り最良の取引経路を確保して取引を実行するものです。ですので、実際はMarket(V2)かMarket(V3)のどちらかの流動性プールを利用して取引していることになります。LimitとはLimitとは、一言でいうと指値注文です。Limitでスワップする場合は、購入または売却したい目標価格(Limit Price)を設定することができます。TWAPとはTWAP(Time-Weighted Average Price)は、スワップ注文を小さな取引サイズに分割し、一定の間隔で執行するというものです。つまり、ユーザーはポジションサイズ、取引期間、インターバルなどのパラメーターを自分で設定することができます。TWAP注文の主な目的は、注文の価格インパクトを軽減することです。また、ユーザーがドルコスト平均法(DCA)を実施し、一貫したスケジュール(月に1回など)で特定のトークンを購入したい場合にも便利です。したがってTWAPは、利用可能な流動性に比べて注文サイズが大きい場合、またはユーザーが明確な上昇または下降トレンドのない価格変動の大きい期間を予測する場合に使用するのが最適です。Cross-Chain SwapsとはCross-Chainスワップは、一言でいうと他のチェーンへのブリッジです。Cross-Chainでのスワップを選択すると、異なるブロックチェーン間でトークンをスワップすることができます。QuickSwapのMarketでSwapしてみたそれではここからは、実際にQuickSwapのMarket取引でスワップしていきます。どんなメソッドが呼ばれて、どんなトランザクションが発行されるのかも見ていきましょう。ERC20のスワップまずは、SwapのMarket(Best Trade)でMATICをUSDCにスワップしてみました。MATIC => USDCこの取引で発行されたトランザクションハッシュは以下になります。0x3ef05c18adbec9f93dbb38ba95f629bf6128c9e57c0455d6f4782713a8e1aad8これをpolygonscanで見てみると、以下の情報がわかります。From自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)ToParaswap v5: Augustus Swapperメソッド名simpleSwapTransaction Action 0.1MATIC => 0.09095USDC にスワップTransaction Fee0.024362775 MATICさらに、トランザクションの内容を詳しく見ていきますと、自分から「Paraswap v5: Augustus Swapper」へ送った0.1MATICは、「Paraswap v5: Augustus Swapper」から「Polygon: WMATIC Token」へTransferされていることがわかりますね。自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9) ↓0.1MATICParaswap v5: Augustus Swapper ↓ 0.1MATICPolygon: WMATIC Tokenそして、ERC-20の流れを見てみますと、以下のようにWMATICとUSDCがTransferされています。Paraswap v5: Augustus Swapper ↓0.1WMATIC0x6D9e8dbB2779853db00418D4DcF96F3987CFC9D20x6D9e8dbB2779853db00418D4DcF96F3987CFC9D2 ↓0.09095USDCParaswap v5: Augustus Swapper ↓0.09095USDC自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)つまり、トランザクションを発行した自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)を軸にして見ますと、「Paraswap v5: Augustus Swapper」へ0.1MATICを送る「Paraswap v5: Augustus Swapper」から0.09095USDCを受け取る手数料として0.024362775 MATICを支払っているという取引が行われていることがわかります。ラップドトークンのスワップ続いて、SwapのMarket(Best Trade)でMATICをWMATICにスワップしてみました。WMATICは、MATICのWrapped Tokens(ラップドトークン)と呼ばれ、仮想通貨を別のブロックチェーン上で使用するための代替トークンになります。MATIC => WMATICこの取引で発行されたトランザクションハッシュは以下になります。0x8aa780daab7e353ccaa4cd915145fa10c687d2b5e6082cba1a86ca2e099072c6これをpolygonscanで見てみると、以下の情報がわかります。From自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)ToPolygon: WMATIC Tokenメソッド名depositTransaction Fee0.004287722526218815 MATICMATICからWMATICへのスワップでは、自分から「Polygon: WMATIC Token」へMATICを送付したという履歴しか見られません。しかし、実際にはWMATICが自分のウォレットに入ってきています。つまり、トランザクションを発行した自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)を軸にして見ますと、「Polygon: WMATIC Token」へ0.1MATICを送る(Polygonscanの履歴にはないが)自分のウォレットに0.1WMATICが送られる手数料として0.004287722526218815 MATICを支払っているという取引が行われていることがわかります。ガバナンストークンのスワップ次は、SwapのMarket(Best Trade)でMATICをQUICKにスワップしてみました。QUICKは、QuickSwapが発行している独自トークンであり、ガバナンストークンと呼ばれています。MATIC => QUICKこの取引で発行されたトランザクションハッシュは以下になります。0x146198e1ad5eac458b9457db8bb1a10b8d426b2583261e8f555ff64e913f3fb1これをpolygonscanで見てみると、以下の情報がわかります。From自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)ToParaswap v5: Augustus Swapperメソッド名simpleSwapTransaction Action 0.1MATIC => 1.131767849130558239USDC にスワップTransaction Fee0.01811128 MATICさらに、トランザクションの内容を詳しく見ていきますと、自分から「Paraswap v5: Augustus Swapper」へ送った0.1MATICは、「Paraswap v5: Augustus Swapper」から「Polygon: WMATIC Token」へTransferされていることがわかりますね。自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9) ↓0.1MATICParaswap v5: Augustus Swapper ↓ 0.1MATICPolygon: WMATIC Tokenそして、ERC-20の流れを見てみますと、以下のようにWMATICとQUICKがTransferされています。Paraswap v5: Augustus Swapper ↓0.1WMATIC0xF3eB2f17eAFBf35e92C965A954c6e7693187057D0xF3eB2f17eAFBf35e92C965A954c6e7693187057D ↓1.131767849130558239QUICKParaswap v5: Augustus Swapper ↓1.131767849130558239QUICK自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)つまり、トランザクションを発行した自分(0x7A115ef9731AC1172Dc6E3370635b79c633d27A9)を軸にして見ますと、「Paraswap v5: Augustus Swapper」へ0.1MATICを送る「Paraswap v5: Augustus Swapper」から1.131767849130558239QUICKを受け取る手数料として0.01811128 MATICを支払っているという取引が行われていることがわかります。ガバナンストークンのスワップは、他のERC20のスワップと同じような流れになっていますね。クリプトリンクへ登録してみようそれでは、実際にスワップ取引をしてみた履歴をクリプトリンクに登録してみましょう。クリプトリンクには、「ウォレット/DeFi取引」というページがあります。こちらから、自分のウォレットアドレスを登録して、トランザクションを取得することができます。まずは、ウォレットアドレスの新規登録を行います。トランザクションを自動で取得したい場合は、「自動取得」を選択し、チェーンと取得開始日時を入力します。上記の状態で「登録する」ボタンをクリックすると、アドレスが登録され、トランザクションも自動取得されて、ウォレット履歴の明細が作成されます。MarketでERC20のスワップした場合まずは、MarketでERC20のスワップした履歴を確認しましょう。先ほどの取引の履歴は以下です。取引日時2024年4月2日15時31分39秒チェーンPolygon取引内容MATIC => USDCへのスワップクリプトリンク上では、以下のウォレット明細が確認できます。「詳細修正」ボタンを押して、詳細を確認すると、以下になります。この内容で問題なさそうですので、先ほどの画面で「登録」ボタンを押すと、以下のように「収支計算」画面に、USDC/MATICの売買明細と手数料の明細が登録されます。Marketでラップドトークンのスワップした場合続いて、Marketでラップドトークンのスワップした履歴を確認しましょう。先ほどの取引の履歴は以下です。取引日時2024年4月2日15時51分41秒チェーンPolygon取引内容MATIC => WMATICへのスワップクリプトリンク上では、以下のウォレット明細が確認できます。polygonscanでトランザクションを見た時は、WMATICの受け取り履歴はありませんでしたが、クリプトリンク上ではスワップの履歴を補完して、WMATICの受け取りも登録しています。「詳細修正」ボタンを押して、詳細を確認すると、以下になります。この内容で問題なさそうですので、先ほどの画面で「登録」ボタンを押すと、以下のように「収支計算」画面に、WMATIC/MATICの売買明細と手数料の明細が登録されます。Marketでガバナンストークンのスワップした場合次に、Marketでガバナンストークンのスワップした履歴を確認しましょう。先ほどの取引の履歴は以下です。取引日時2024年4月2日16時09分11秒チェーンPolygon取引内容MATIC => QUICKへのスワップクリプトリンク上では、以下のウォレット明細が確認できます。「詳細修正」ボタンを押して、詳細を確認すると、以下になります。この内容で問題なさそうですので、先ほどの画面で「登録」ボタンを押すと、以下のように「収支計算」画面に、QUICK/MATICの売買明細と手数料の明細が登録されます。まとめ今回は、QuickSwapのスワップ取引を実際にやってみました。QuickSwapのスワップ取引とは何かQuickSwapのスワップ取引のやり方QuickSwapのスワップ取引のトランザクション(取引履歴)の見方などを詳しく画像付きで解説しました。QuickSwapで取引をしている方でも、トランザクションの内容が実際にどうなっているのかを確認したことがある人は少ないかもしれません。本記事で、polygonscanの見方が少し分かったはずですので、今後はご自身でもDEXでの取引履歴を確認し、仮想通貨の損益計算に繋げてもらえればと思います。