仮想通貨(暗号資産)の運用ではもう一般的になったステーキングですが、どのような仕組みか知らない人も多いのではないでしょうか?「仮想通貨のステーキングってなに?どんな仕組みなの?」「ステーキングした時の損益計算について教えて!」このように思っている方もいると思います。そこで本記事では、ステーキングの仕組みや損益について詳しく解説します。最後に事業として仮想通貨の投資をされている方に向けて、仕訳例についてもご紹介しますので、ぜひご一読ください。ステーキングとはステーキングとは、仮想通貨の保有者が一定数量のトークンをブロックチェーンネットワークに預けて、ブロックチェーンの安定稼働に貢献した対価として報酬を得ることです。ステーキングで一定数量のトークンを預けることで、なぜ報酬が得られるのでしょうか?ステーキングの仕組みについて詳しく解説します。ステーキングの仕組みステーキングは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS:Proof of Stake)という「コンセンサスアルゴリズム」の一部で、対象の通貨をブロックチェーンネットワーク上にあずけてロックすることでネットワークの運営に参加することにより報酬を得ることができます。「コンセンサスアルゴリズム」とは、ブロックチェーンがブロックを追加する際の承認に必要な、合意形成の仕組みのことで、PoS以外に以下のようなものがあります。プルーフ・オブ・ワーク PoW(Proof-of-Work)プルーフ・オブ・ワークは、BTCを代表とする多くの暗号資産のコンセンサスアルゴリズムとして採用されています。マイニングの基盤となるコンセンサスメカニズムで、マイナーが計算問題を解決し、新しいブロックをブロックチェーンに追加します。マイニングはこの計算問題を解くプロセスで、成功するとマイナーは報酬を得ます。デリゲート・プルーフ・オブ・ステーク DPoS(Delegated Proof-of-stake)デリゲート・プルーフ・オブ・ステークは、プルーフオブステーク(PoS)の一種で、コイン保有者が代表者(デリゲート)を選び、ブロック生成や取引検証を委任する仕組みです。選ばれたデリゲートがブロックを生成し、報酬を受け取ります。ステーキングではこのPoSやDPoSをコンセンサスアルゴリズムとして採用している仮想通貨を、ブロックチェーンネットワークやバリデータに預けることで報酬を受け取ることができます。ステーキングができる暗号資産記事執筆時点(2024年5月27日時点)で国内でステーキングができる通貨をご紹介します。ステーキングの受け入れが中止している可能性もあるので、実際の取引をされる場合には各取引所の情報をご確認ください。名称シンボルOKCOINjapanGMOコインSBI VC TradecoinbookカルダノADA 〇〇〇アプトスAPT〇 アスターASTR〇〇 コスモスATOM 〇〇 アバランチAVAX 〇 ポルカドットDOT 〇〇 イーサリアムETH 〇〇アイオーエスティIOST〇 オアシスOAS 〇 パレットトークンPLT〇 クアンタムQTUM 〇 ソラナSOL〇〇〇 スイSUI〇 トロンTRX〇 テゾスXTZ〇〇〇 シンボルXYM 〇 ジリカZIL〇 ステーキングの損益計算方法と税金についてステーキング報酬として受け取った仮想通貨の損益の発生タイミングは2回あります。① ステーキング報酬の受取時② ステーキング報酬で受け取った仮想通貨の売却時やほかの仮想通貨に交換した時それぞれの損益計算について説明します。①ステーキング報酬の受け取り時ステーキング報酬を受け取った時の損益は、「受け取った仮想通貨の時価」 x 「取得した数量」が損益となります。例えば以下のような場合、SOLをステーキングして、ステーキング報酬として1SOLを時価が2万円の時に受け取った。2万円 × 1 = 2万円が損益となります。国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」では、ステーキングによる仮想通貨取得の所得税又は法人税の扱いは以下のように記載されています。いわゆる「マイニング」、「ステーキング」、「レンディング」など(以下「マイニング等」と いいます。)により暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額(時価) については所得の金額の計算上総収入金額(法人税においては益金の額)に算入され、マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費(法人税においては損金の額)に算入されることになります。②ステーキングで受け取った通貨の売却時ステーキング報酬として受け取った仮想通貨を売却した時は、以下の通り損益が発生します。受け取った時より価格が上がっている場合は利益が発生受け取った時より下がっている場合は損失が発生ステーキング報酬として受け取った仮想通貨を売却した時の計算方法は、それぞれ以下の通りです。1) 受け取った時より価格が上がっている場合例えば、SOLをステーキングして、ステーキング報酬として時価2万円の時に受け取った1SOLを、時価3万円の時に1SOL売却した場合は、 ( 3万円 × 1 ) - ( 2万円 × 1 ) = 1万円が利益となります。2) 受け取った時より価格が下がっている場合例えば、SOLをステーキングして、ステーキング報酬として時価2万円の時に受け取った1SOLを、時価1万円の時に1SOL売却した場合は、 ( 1万円 × 1 ) - ( 2万円 × 1 ) = 1万円が損失となります。ステーキングの仕訳最後に仮想通貨のステーキングでの仕訳方法について解説します。ステーキング報酬の受け取り時ステーキング報酬として1SOLを時価2万円の時に受け取った。この場合の仕訳は以下のようになります。借方:暗号資産 貸方:暗号資産売却損益日付借方貸方11/1暗号資産 20,000円暗号資産売却損益 20,000円ステーキングで受け取った通貨を売却した時売却時に利益が発生ステーキング報酬として受け取った仮想通貨の価格が受け取った時より上がっていた場合、その仮想通貨の売却を行うと、差額を利益として計上します。時価2万円の時に受け取った1SOLを、時価3万円の時に1SOL売却した。この場合の仕訳は以下のようになります。借方:預け金 貸方:暗号資産 / 暗号資産売却損益日付借方貸方12/1預け金 30,000円暗号資産 20,000円 暗号資産売却損益 10,000円売却時に損失が発生ステーキング報酬として受け取った仮想通貨の価格が受け取った時よりさがっていた場合、その仮想通貨の売却を行うと、差額を損失として計上します。時価2万円の時に受け取った1SOLを、時価1万円の時に1SOL売却した。この場合の仕訳は以下のようになります。日付借方貸方12/1預け金 10,000円暗号資産 20,000円暗号資産売却損益 10,000円まとめ本記事では、仮想通貨のステーキングの仕組みと、ステーキングができる通貨、ステーキング報酬で発生する損益時の計算方法と仕訳について説明しました。最後にステーキングとは何なのかをおさらいしておきましょう。ステーキングとは、仮想通貨の保有者が一定数量のトークンを預けて、報酬を得ることステーキングの損益発生タイミング① 報酬を受け取った時② 報酬として受け取った通貨を売却した時ステーキング報酬は、受け取った時点の時価で一度損益が発生するため、報酬で受け取った通貨が現時点で価値が落ちているような場合でもそのまま所持している場合には想定外の利益が発生している場合があります。そのため、一度計算をしてみて想定より利益が多く出ているような場合には、対象通貨を一度売却するなど検討してみるのもいいかもしれません。また、ステーキングに限らず長期保有している場合、時価が変動することで税金がかかるか心配な方はこちらで長期保有時の税金について解説しているので、ぜひご覧ください。保有だけでも注意!仮想通貨(暗号資産)は持ってるだけで税金がかかる!?ステーキング報酬を多く受け取っている場合には、確定申告が必要になるケースがありますので、ご自身の損益を今一度確認してみてはいかがでしょうか?