2024年4月の半減期への期待感からか、ビットコインは同年3月には1,000万円を越える価格帯で推移する場面が多く見られました。話題に事欠かなかったこの時期、ビットコインはニュースサイトなどで取り上げられ、これを機に仮想通貨投資に参入された方も多いのではないでしょうか?そこで、仮想通貨のみならず、株式、FXなど投資を始めたときに忘れてはならないものが一つあります。それは「税金」です。仮想通貨と税金について検索すると、「利益の半分以上が税金」や「税金地獄」など、税金が高いことを取り上げた記事が目立ちます。「仮想通貨の税金は、何がやばいの?」「どうして仮想通貨の税金は高いの?」「税金は日本円に交換したときだけかかるんじゃないの?」このような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、初めて仮想通貨投資に参入した方にもわかりやすいように、仮想通貨の税金がなぜ高いと言われるのか、税金はどういった時にかかるのか、などについて詳しく解説していきます。その他にも仮想通貨周りの税金の基礎知識について以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。【初心者必見】仮想通貨(暗号資産)の税金とは?基本の計算から確定申告まで丸わかり仮想通貨の高すぎる税金の仕組みとはまずは、「仮想通貨の税金がやばい」と言われる最大の理由、税金の高さについて解説します。そもそも仮想通貨の利益は何所得?そもそも仮想通貨の利益は制度上、何所得なのでしょうか?結論は「雑所得」になります。会社員が受け取る給料は「給与所得」、個人事業主が事業で稼いだものであれば「事業所得」と、所得はその性格によって以下の10種類に区分されています。利子所得配当所得不動産所得事業所得給与所得退職所得山林所得譲渡所得一時所得雑所得上記のような所得の区分があり、これらに対して所得税がかかってきます。この中でも「雑所得」は、他の9種類のいずれにも当てはまらない所得を指し、仮想通貨はこれにあてはまります。利益が上がるほど税率が上がる累進課税の仕組み所得税は、「累進課税」と呼ばれる制度を採用しています。累進課税とは、「所得が多くなると税率が上がる」仕組みです。以下は、国税庁に掲載されている所得税の税率の表です。表にあるように、4,000万円を超えると45%もの税率がかかりますが、逆に利益が低ければそれだけ低い税率に抑えることが可能です。また、仮想通貨の所得は「総合課税」といった制度の対象となります。総合課税は、制度の対象となる所得をすべて合算した上で累進課税の表と照らし合わせて税率を求めるもので、仮想通貨からの所得が低くても他の所得が多ければ税率が高くなることがあります。株式投資やFXとの違い同じ投資でも株式投資やFXでは仮想通貨のように「税金が高すぎる!」との声はあまり聞きませんよね。どういった違いがあるのでしょうか?まず、株式投資について、株式を売買して得た利益は「譲渡所得」、配当金として得た利益は「配当所得」に区分されます。また、国内でFXを行なって得た利益は仮想通貨と同じ「雑所得」に区分されますが、雑所得の中でも「先物取引に係る雑所得等」に区分されます。これらの所得は仮想通貨の総合課税と違い、「申告分離課税」と呼ばれる制度の対象です。(配当所得は確定申告で総合課税にすることもできます)申告分離課税は累進課税ではなく、税率は所得に関係なく一律となっています。内訳は、所得税15%、住民税5%の合計20%が一律でかかってきます。(2023年までは復興特別所得税として所属税額の2.1%が加算)そのため、株式投資やFXの場合は、利益が大きくなっても高い税率がかからないというメリットがあります。最大55%が税になるのはどういうとき?では、この税制度上で仮想通貨の税金がやばいと言われている原因は何でしょうか?それは最大で税率55%、実に所得の半分以上もの税金を納めなければならない場合があることです。ですが、いつも55%もの税金がかかるわけではありません。以下の累進課税の表では、所得税は最大45%になります。これに住民税の10%を加えた結果、最大で税率55%にまで到達する仕組みです。ただし、所得税が最大の45%になるのは所得が4,000万円を超えた場合だけであるため、これより利益が小さければそこまでの税率になることはありません。それでもなお、仮想通貨の税金がやばいと言われるのは、さきほど解説した総合課税の対象であり、他の所得、たとえば給与所得や事業所得と合算した上で、累進課税の税率が決められてしまうからです。そのため税率が高くなりやすく、同じ投資である株式投資やFXと比較しても税率的に不利になりやすくなっています。仮想通貨を相続したら最大税率110%!?そうはいっても最大55%の税率ですから、45%残れば十分な利益になるかもしれません。しかし、注意しなければならないのは、なんと相続したら税率110%にもなる可能性があることです。利益がなくなるどころか負債にまでなってしまう場合があるのです。仮想通貨の相続にも、他の資産と同じように相続税がかかります。以下の表は、課税遺産総額を法定相続分に従って取得した場合の各法定相続人毎の相続分に応じた税率を表しています。この表から、相続では最大で55%もの税金がかかることがわかりますね。では、仮想通貨では110%にもなるとはどういうことか?ここで仮想通貨ならではの事情が二つあります。まず一つ目は、仮想通貨には相続における「取得費の特例」が適用されないことです。取得費の特例とは、相続税を納めるために相続した財産を売却した場合、その所得税を一部控除できるという特例です。二つ目は、仮想通貨の取得原価は相続時の価格でなく、被相続人のものを引き継ぐものとされていることです。たとえば、被相続人がビットコインを100万円で10BTC買っていたとしましょう。これをビットコインが1,000万円の時に相続したとしても、仮想通貨の取得原価は被相続人のものを引き継ぐため、100万円のまま、つまり、これを1,000万円で売却すると利益は、( 1,000万 - 100万 ) × 10BTC = 9,000万円となります。そして、これに対して取得費の特例が認められないため、相続税の支払いのための売却だとしても控除はなく、この金額に対して所得税はそのまま、最大55%かかってきます。その上で相続税が最大の55%かかってきた場合、仮想通貨においては相続税分の55%と所得税分の55%で合計110%もの税金を納めなければならないのです。税率だけでなく損益計算の煩雑さもやばい税金がやばいと言われる大きな原因として、税率が最大55%にもなることを紹介しました。ですが、もう一つ仮想通貨の税金にはやばい一面があります。それは煩雑な損益計算です。株式投資やFXと違い、仮想通貨を頻繁に取引する方の中には多くの取引所やウォレットを利用して取引している方も多いでしょう。まず、そうした複数の取引所やウォレットの損益をまとめて計算しなければなりません。加えて、仮想通貨の取引は単純な売買だけでなく、レバレッジ取引、仮想通貨同士の交換やマイニング、ステーキング、流動性供給など多くの種類があります。さまざまな種類の取引をしていく中で、いつどのタイミングでどれだけ税金がかかるのか、これを正しく計算するのは非常に大変です。意外と知らない税金がかかる取引では、そんなさまざまな種類がある仮想通貨の取引の内、単純な売買以外に税金がかかる取引を紹介していきます。意外と見落としがちなところにも税金はかかってくるので、ぜひともご一読ください。仮想通貨で別の仮想通貨を購入したとき仮想通貨を日本円で売買したときに税金がかかるのは直感的にもわかりやすいと思います。仮想通貨に限らず、実際の商品を売買した際の差益、と考えることができますから。ですが、仮想通貨で別の仮想通貨を購入、いわば仮想通貨の交換をしたときにも税金がかかることは知っていましたか?仮想通貨の交換、たとえばビットコイン(BTC)でイーサリアム(ETH)を購入したとします。この場合、元々持っていたビットコインを一旦売却して日本円に換金してから、イーサリアムを買ったと解釈されます。この時点でビットコインを売却したと見なされるので、ビットコインを購入したときよりも価値が上がって利益が出ていたら、その利益に対して税金がかかります。その後、イーサリアムが暴落したとしても、交換した時点でビットコインの売却は成立しているため、全体では利益がないのに税金の支払いだけは残ってしまうこともあります。売買した際の日本円の損益だけを見ていると見落としてしまいがちなので注意しましょう。仮想通貨を支払って商品を購入したとき次に、仮想通貨を支払って商品を購入したときにも税金がかかります。こう聞くと消費税に似たもののように思えますが、それとは別で所得税がかかってきます。仕組みとしては仮想通貨で別の仮想通貨を購入するときと同じ考え方で、仮想通貨を一旦売却して日本円に換金してから、商品を買ったと解釈されます。ですので、たとえばビットコインでピザを購入したとすると、ピザを購入した時点でビットコインを売却したと見なされるので、ビットコインを購入したときよりも価値が上がって利益が出ていたら、その利益に対して税金がかかります。マイニングやステーキングなどの報酬を得たとき売買による差益だけでなく、仮想通貨にはマイニングやステーキング、レンディングといった取引形態があり、これを利用して報酬を得ることができます。報酬は基本的には仮想通貨で得ることになりますが、これにも税金がかかってくるので注意が必要です。こういった方法で報酬を得た場合、報酬を得た時点での仮想通貨の日本円価格がまるごと利益と考えられ、その利益に対して税金がかかります。この時、得た報酬を売却していなくても、つまり、仮想通貨のまま持ち続けていても税金がかかってしまうことに注意しましょう。もし報酬として得た仮想通貨が大暴落してしまったら、報酬を受け取った時点での税金だけが残ってしまうといったリスクがあります。仮想通貨を持っているだけでも税金がかかるケースについて、ぜひ以下の記事をご一読ください。保有だけでも注意!仮想通貨(暗号資産)は持ってるだけで税金がかかる!?配布キャンペーンなどで仮想通貨を得たときまた、仮想通貨は配布キャンペーン、エアドロップなどで得ることもあります。こうして配布された仮想通貨はマイニングやステーキングなどの報酬と同じように、配布されて取得した時点で税金がかかります。報酬と同じ考え方で、配布された時点での仮想通貨の日本円価格がまるごと利益と考えられ、その利益に対して税金がかかります。マイニングやステーキングは自分で管理できるため、報酬を得ても税金の計算がしやすいですが、配布された仮想通貨は自分の知らないところで勝手にウォレットに入っていることもあります。そうなると、知らず知らずの内に税金が発生してしまっている、最悪の場合、知らずに配布された仮想通貨が暴落してしまって税金の支払いだけが残ってしまうことも考えられます。仮想通貨をもらった場合の税金については、以下の記事で詳しく解説しています。仮想通貨をもらった時の税金とは?エアドロップなどの利益の計算方法を解説仮想通貨の節税方法最後に、ここまでいかに仮想通貨の税金がやばいかについて解説しましたが、節税について軽くご紹介します。個人で仮想通貨の投資を行なっている場合には節税方法はあまり多くありませんが、対策としていくつかできることはあります。代表的なものに、含み損がある通貨を売却することで損失を確定し、利益と相殺して利益を圧縮する方法があります。こちらは手軽な方法なので、簡単に節税したい方におすすめです。他には、仮想通貨の売買をコントロールして複数年度に分けて利確することで年度ごとの利益を調整できたり、あえて高いレートで売買して取得原価を上げたりする方法もあります。複数年度に分けて利確する方法については、以下の記事で詳しく解説していますのでご一読ください。仮想通貨(暗号資産)を少しずつ利確した時の税金とは?節税や損益の計算方法を解説他にも節税については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。仮想通貨の税金対策をご紹介まとめこのように、仮想通貨の税金は場合によって非常に高くなることがあります。さらにその課税される取引はさまざまな形態があり、税金の計算が煩雑になりがちです。最後に、仮想通貨の税金について簡単におさらいしておきましょう。仮想通貨の利益は「雑所得」に分類される仮想通貨の税金は「累進課税」の対象で、最大55%の税金がかかる税率だけでなく損益計算も煩雑で大変確定申告で慌てないためにも普段からしっかりと取引やウォレットを管理しておきたいところです。クリプトリンクではそうした煩雑な取引の損益計算を代行するサービスを行なっておりますので、ぜひお問い合わせください。計算代行サービスまた、節税についてご興味のある方はこちらの節税サービスもぜひご活用ください。節税サービス