仮想通貨(暗号資産)投資をしている方の中には、将来価格が上がるだろうと思い、購入した仮想通貨を保有し続けている人もいますよね。そんな人は以下の疑問を抱いているのではないでしょうか?「以前購入した仮想通貨を持っているだけでも税金ってかかるの?」「仮想通貨を保有しているだけでも税金がかかるケースがあるって本当?」「ステーキング報酬って、売っていなくても税金がかかるの?」基本的に、自分で購入した仮想通貨は、売却したり他の仮想通貨に交換したりしない限り税金はかかりません。しかし、中には持っているだけで税金が発生してしまうケースもあります。そこで今回は、仮想通貨の保有中に課税が生じる6つのシーンと、利益が想定以上に膨らんだときに使える節税テクニックをについて詳しく解説していきます。また、仮想通貨の収支計算をして予想以上に利益が出ていた場合、どうすれば税金対策をできるのか、についても最後に紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。この記事の要約原則:自分で購入した仮想通貨は、売却・交換・使用しなければ課税されない例外:ステーキング/マイニング/レンディング/エアドロップ/GameFi収益/法人の期末時価評価では保有中でも所得が発生課税タイミング:報酬・トークン受取時点、または決算日時点の時価で算定見落としリスク:申告漏れは追徴課税・延滞税・重加算税の対象節税策:含み損コイン売却・取得単価調整・クリプトリンクトラッシュ活用で利益をコントロールツール活用:クリプトリンクの損益計算ツールでリアルタイムの所得を把握し、早めに対策仮想通貨は持ってるだけで税金がかかるのか?個人で投資をしている場合、購入した仮想通貨は持っているだけでは税金はかかりません。持っている仮想通貨の価格がどんどん上がって、資産額が大きくなっていたとしても、持っているだけでは基本的には利益が発生していないからです。仮想通貨に税金がかかるタイミングはいくつかありますが、例えば、持っている仮想通貨を売却して日本円にした他の仮想通貨に交換した持っている仮想通貨で、NFTやゲーム、商品などを購入したなどを行った際に初めて、所得が発生し、課税対象となります。つまり、単純に仮想通貨取引で売買をしているだけの方は、保有している仮想通貨を売却したり、他の仮想通貨に交換したりしたタイミングで税金がかかります。ですが一方で、仮想通貨を売却や交換していないのに、持っているだけでも税金が発生するケースもあります。保有中でも課税される6つのケースとは?取得して売却等していないのにすでに税金が発生しているケースは、以下になります。持っている仮想通貨を運用しているボーナス・エアドロップで仮想通貨を取得したPlay to Earnでゲームで稼いだ法人で仮想通貨を保有している特に、持っている仮想通貨を運用している場合や、ボーナス・エアドロップで取得したりゲームで稼いだりした場合というのは、所得が発生していることに気づきにくいかと思います。「持っている仮想通貨を運用している」とは、主に以下の取引のことです。ステーキングをしているマイニングをしているレンディングをしている上記のような取引を行って、報酬として仮想通貨を受け取った場合は、取得した時点の時価で利益が発生します。そのため、売却せずに持っているだけでも税金がかかっていますので、注意してください。このことを知らずに確定申告をしないでいると、申告漏れとして追徴課税などのペナルティを課せられてしまう場合がありますので、しっかりと理解しておく必要があります。報酬として仮想通貨を受け取った場合の税金と損益計算方法については、以下の記事も合わせてご覧ください。仮想通貨(暗号資産)をもらった場合の税金とは?エアドロップなどの利益の損益計算方法を解説ステーキング報酬は受取時点で雑所得ステーキングとは、保有している仮想通貨を一定の期間、預け入れておくことで報酬がもらえる仕組みです。預け入れている間は取り出したり売却したりすることができませんが、国内の仮想通貨取引所でもステーキングを行っているところがあり、簡単にできる資産運用方法の1つとなっています。そんなステーキングでは、報酬を受け取ったタイミングで、利益が発生し、課税対象になります。報酬として仮想通貨を受け取った際は、その時の時価レートで日本円換算した金額が所得とみなされます。例えば、ステーキングで1ETHを預け入れ、その報酬として毎月0.01ETH受け取ったとすると、1ヶ月目:0.01ETH(時価レート300,000円)→ 3,000円の利益として課税対象2ヶ月目:0.01ETH(時価レート500,000円)→ 5,000円の利益として課税対象3ヶ月目:0.01ETH(時価レート400,000円)→ 4,000円の利益として課税対象このように、ステーキング報酬を受け取るたびに利確(利益確定)扱いにされます。マイニング報酬も同様に受取時で課税マイニングとは、トランザクション(取引)データに不正がないか、間違っていないかなどを検証・承認し、取引を成立させる作業を行い、その報酬として仮想通貨をもらえる仕組みです。ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨には、通貨の発行や流通を管理する国や中央銀行のような管理者がいません。そのため、ビットコインネットワークに参加している世界中の人が、取引の成立や不正のチェックなどの管理を行っています。その管理作業の対価として報酬を受け取るというのが、マイニング報酬です。そんなマイニングも、ステーキングと同様に、報酬を受け取ったタイミングで、利益が発生し、課税対象になります。そのため、マイニング報酬を受け取るたびに利益が発生していきます。マイニングの税金について詳しくは以下の記事で解説していますので、興味のある方はご一読ください。仮想通貨(暗号資産)のマイニングの税金・確定申告ってどうなるの?税金計算ツールへの登録方法も解説レンディング収益も同様に受取時点で課税レンディングとは、自分が保有している仮想通貨を第三者に貸し出して、その対価として利息がもらえる仕組みです。仮想通貨のレンディングは、貸し出すだけで報酬を受け取ることができるため、運用が簡単で初心者でも始めやすいというメリットがありますが、貸し出した仮想通貨はすぐに取り出せなかったり、貸し出した先が倒産やハッキング被害にあうと貸し出した仮想通貨が戻ってこなかったりするリスクもあります。そんなレンディングでもらった収益も、ステーキング報酬やマイニング報酬と同様に、利息を受け取った時点で利益が発生して、課税対象となります。仮想通貨のレンディング収益の税金について、詳しくは以下の記事で解説しています。仮想通貨のレンディング収益の税金とは?計算方法を分かりやすく解説ボーナス・エアドロップ・ハードフォークでの取得ログインボーナス・紹介ボーナス:付与時に時価で所得エアドロップ:流動性があるトークンは付与時、レートが0の場合は課税なしハードフォーク:取得時レートが0円のため原則課税なし。ただし後日売却時には譲渡所得が発生ボーナスや、エアドロップ、ハードフォークなどで仮想通貨を受け取った場合も、受け取ったタイミングで、課税対象になります。仮想通貨取引所で取引をしていると、たまにログインボーナスや、アフィリエイトボーナスなどの報酬を仮想通貨で受け取ることもあります。そのように意図せず受け取った場合も、課税対象になってしまいますので、注意が必要です。またエアドロップとは、仮想通貨取引所や、トークン(仮想通貨)やNFTを発行する団体が定めた条件をクリアすることで、トークンやNFTを無料でもらえるイベントです。そのようなイベントに参加して、無料で仮想通貨を受け取った場合も同様に、課税対象になります。※ エアドロップで受け取る仮想通貨にはレートがないものが多いので、レートがないものを受け取った場合には利益は発生しません。一方ハードフォークとは、仕様の変更によりブロックチェーンが分岐することです。元々1つだったブロックチェーンが分岐することで2つになり、新たな仮想通貨が誕生します。例えば、ビットコインキャッシュ(BCH)やイーサリアムクラシック(ETC)は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)がハードフォークしたことで誕生した仮想通貨です。ハードフォークにより、新しく手に入れた仮想通貨も、課税対象になります。ただし、ハードフォークで新しい仮想通貨を取得した時点では、その通貨の時価レートは基本的には0円ですので、利益は発生しないものと考えられます。GameFi・Play to Earnでゲームで稼いだトークンの受取時トークンを直接受取:受取時に課税ゲーム内ポイント受取:ポイントをトークン化した時点で課税近年は、「GameFi」も流行っていますよね。GameFiとは、Game(ゲーム)とFinance(金融)を組み合わせた造語です。PCやスマートフォンなどでブロックチェーンゲームをして、報酬として仮想通貨をもらえたり、ゲーム内のポイントを稼いでそれを仮想通貨に変換したりできます。例えば、歩くことで仮想通貨をもらえる「STEPN(ステップン)」などが代表的なGameFiです。これにより手に入れた仮想通貨にも税金がかかってきます。報酬として仮想通貨を受け取った場合は、受け取った時点で課税対象になります。一方で、報酬としてゲーム内通貨やポイントを受け取った場合は、それを仮想通貨に交換した時点で課税対象になります。法人の期末時価評価これまでのケースは、個人・法人ともに対象となりますが、法人として仮想通貨取引をしている場合は、仮想通貨を保有したまま期末をまたぐと期末時点の含み益に対しても税金がかかります。法人では、決算期末に保有している仮想通貨の時価評価が必要になります。例えば、1BTCを700万円で購入し、それを売却せずに期末を迎えたとします。期末時点のBTCの時価レートが900万円だったとすると、期末時価評価をすると含み益は200万円になりますので、この200万円が課税対象になります。ただし、自社で発行したトークン(仮想通貨)に関しては、期末時価評価による含み益は課税対象外とされています。参照:法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて想定外の利益が出たときの節税3ステップ仮想通貨を持っているだけで税金がかかってしまうケースについて理解できたところで、今年の収支計算をやってみたところ、予想以上に利益が出ていてどうしよう・・・となってしまうこともあるかもしれません。そうなった場合には、今年(法人の場合は今年度)が終わる前に以下の対策を行うことで、節税につながります。対策内容効果含み損コインの売却購入時より値下がりしている通貨を年内に売却損失で利益を相殺(損益通算)取得単価を引き上げ総平均法の場合、価格が高いときに同銘柄を追加購入取得単価↑ → 利益↓クリプトリンクトラッシュ活用売却困難なトークンを0円で譲渡譲渡損を実現し課税所得を圧縮保有している仮想通貨で、買った時より価格が下がっているものがある場合は、それを売ることで損を出すことができます。総平均法で計算をしている場合は、利益が多く出てしまっている仮想通貨を価格が高い時に再度購入することで、その通貨の取得単価を上げることができます。総平均法の計算は仮想通貨ごとに、売却額 ー ( 売却数 × 取得単価 )で利益を算出しますので、取得単価を上げることで利益を小さくできます。また、保有しているけど売ることができない仮想通貨がある場合には、クリプトリンクトラッシュというサービスがありますので、0円で売却して、取得した金額分の損を実現することが可能です。その他にも予想以上に利益が出ていた場合の節税方法について以下の記事で解説していますので合わせてご覧ください。仮想通貨(暗号資産・ビットコイン)の節税・税金対策をご紹介ぜひ参考にしてみてください。まとめ今回は、仮想通貨(暗号資産)を持っているだけで税金がかかってしまうケースについて、詳しく解説しました。仮想通貨を持っているだけで税金がかかるケースをおさらいすると、ステーキングを行い、仮想通貨を取得したマイニングを行い、仮想通貨を取得したレンディングを行い、仮想通貨を取得したボーナス・エアドロップで仮想通貨を取得したPlay to Earnでゲームで稼いだ法人として保有して決算をまたいだになります。意図せずもらっていた仮想通貨についても、税金がかかってしまうことがありますので、定期的に自分の仮想通貨の収支計算を行い、損益をチェックするようにしましょう。関連記事【2025年最新版】仮想通貨(暗号資産)の税金・確定申告に“抜け道”はある?4個の節税方法を紹介【高すぎる!】仮想通貨の税金はなぜやばい?最大55%課税の仕組みと即効節税術も紹介仮想通貨を少額ずつ利確すると税金はどう変わる?―節税メリットと損益計算をまるっと解説【2025年版】